DON'T PASS MUSIC BY

"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

時代の産物を追う?(5)

 2016年度作品の続き。

(6)Sage’s Recital『THE WINTER SYMPHONY』(Intl.)
 John West(元Artension, Royal Huntほか)が歌っていると知って入手。他のメンバーはNiels Vejlyt(Gt, Ba, Key, Orchestration)、Jokob Vand(Dr)。初めてJohnの歌声を聴いたのはたぶんRoyal Hunt『THE MISSION』Artension『SACRED PATHWAYS』だったと思います。すごいシンガーだと思って、両バンドの旧作やソロアルバムにも手を出したものです――ソロアルバムの『EARTH MAKER』は特に好きな作品――が、近年は目立った活動をきいていませんでした。(因みに、Royal Huntの「Surrender」、Artension「Emperor」、John West「When Worlds Collide」は名曲なんで、ぜひどうぞ。)

 2013年にArtensionとも一部メンバーが重複するArtlantica『ACROSS THE SEVEN SEAS』で歌っているのを知った時はやはりタワーレコードに走りましたなあ。
 
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 で、本作。往年のシュラプネル系みたいな(?)ネオ・クラシカル速弾きギタリストが弾きまくる。強引なオブリのねじ込みは、かつてJohnのソロアルバムでも弾いてたGeorge Bellasっぽいかも。むかしはこういうのが大好きだったんですが、こっちが年をとったせいか、最近はちょっと疲れる。Johnが歌ってくれるパートに来ると一安心。厳かなバラード「Queen of the Winter」なんかが良いかな。ただ、やはり「バンド感」は希薄なので、あとひとつ我が趣味に嵌まらないところがありますが。

(7)Vardis『RED EYE』(UK)
 NWOBHMの若き英雄であったSteve Zodiac。ロング・ヘアにベア・フットがトレードマークだった彼――ってもちろん私は写真で見ただけだけど――も、いまや髭面禿頭巨漢。別の意味ですごい存在感に。

 私は『THE WORLD'S GONE MAD』っていう二枚組ベスト盤(2001年)から入ったのですが、同作冒頭の「100MPH」の爆走ブギーが大好き。「If I Were King」の突っ込んだ感じも最高だし、「Blue Rock」のカラッと明るいR&Rも素敵。T.Rex「Jeepster」とかHawkwind「Silver Machine」のカヴァーも元気で◎。

 かつては“Quo meets Motörhead”なんていう形容もされたみたいですが、そういう感じはあるね。私のなかでは「Status Quo--Spider--Vardis--Motörhead」のグラデーションがブリティッシュハード・ロックンロールの主要線を守っていたとおもうのね。
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 でも、もう完全に過去のバンドなんだと思ってた。上のベスト盤以降音沙汰がなかったんで。ところが、数年前にメタル専門店の店頭にこの『RED EYE』が並んでたの。その時はすぐには手を出せず、帰って色々調べてみたら、Steveが本格的に再始動したっていうんで「こりゃあ一大事」と。ネット上で試聴できたのは「Paranoia Strikes」だったんですが、猪突猛進に見えて(聴こえて?)フック満載のリフ、いい意味で上ずり気味の歌……これはたいそうな不良老人だあ。見てみるとジャケットもイイ感じで怖いし(笑)。アルバム冒頭のヘヴィな「Red Eye」は貫禄十分だし、軽快な重量級R&R(?)「Back to School」は十八番、それに「200 MPH」なんて曲もあって、“老いてますます盛ん”なVardisには尊敬しか覚えません。

(8)Thunder『ALL YOU CAN EAT』(UK)
 これも入手に至る道は変則的。Thunderを恒常的にチェックしていたわけではなく、この三枚組のディスク3が欲しかったの。なぜなら、私が自分で観たライヴの音源が入っているから……2014年10月19日のLOUD PARK(於:さいたまスーパーアリーナ)に出演した際のステージを丸ごと収録したボーナスディスクを。
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 その日は、同日のラウド・パークに出るRiot(Riot V)を観たくて、一日だけ参加したのですが、全出場アクト中もっとも印象に残ったのがサンダーでした。RiotはMark Reale没後の再生バンドとして頑張っていたし、トリのDream Theaterは映像も組み合わせた演出も込みであまりにも素晴らしかったし、Kreatorのスラッシュ・パワーは凄かったし……なんだけど、なんのギミックもない「単なるハードロック」を45分間演っただけのThunderが与えてくれた感動は上回れませんでした。特に、ヴォーカルのDanny Bowesの歌唱と客煽りは最高!でした。

 セットリストは「Dirty Love」・「The Thing I Want」・「Higher Ground」・「Wonder Days」・「River Of Pain」・「I Love You More Than Rock'n'Roll」。オープニングSEのAC/DCの「Thunderstruck」が掛かると観客は期待で盛り上がり、メンバーが登場してのオープニング演奏からダニーが“Oh baby, I, don't, want , your……”と引っ張ってから“Dirty Lo~ve”と曲名をコールして、かの大名曲のイントロに。合間合間でダニーは“Dance! Jump!”と身振りも交えて客を乗せまくる……最初の一行も歌わないうちにね。これでもうフロアは完全に彼らに掌握されてしまったのだ。“Everybody, scream!”っていう煽りを入れてくるタイミングも完璧、“Nanana.......”っていうところを客に歌わせるのも決まった。いま音源を聴くと、演奏の方は少し粗いところが無きにしも非ずなんですが、そんなこと気にならなかったよ。

 4曲目に演じた「Wonder Days」は当時未発表の新曲、このラウドパークでの様子がミュージック・ヴィデオとして仕上げられていてYoutubeに上がっていますので、ぜひ御覧なさい。フロアで拍手している後ろ姿の一人が私だから……じゃなくて、風貌は渋い老人になったダニーやルークが無茶苦茶カッコいいから、ね。

 ラストの「I Love You More Than Rock'n'Roll」もお得意の客席巻き込みソング。The Rolling StonesっていうかKeith Richards風のリフが心地好いことこの上ないうえに、気持ちよさそうにPaul Rodgersの衣鉢を継ぐ(?)かのごとき熱唱が聴けるんだから、一曲で英国ロックの歴史を体感できるようなもんだ。“Everybody clap your hands, jump up and down!”って言われちゃあ、盛り上がらないわけにいかんぞな。

 っていうのがよみがえる臨場感たっぷりの嬉しいCDなのでした。ちなみに、『ALL YOU CAN EAT』一枚目はロンドンのスタジオで行われたスタジオ・セッション、二枚目がやはりロンドンで行われたコンサートの音源。まあ、彼らのライヴが悪かろうはずもなし。スタジオの方では、BBAStevie Wonderかな)の「Superstition」とかThe Beatlesの「I'm Down」、Free「The Stealer」のカヴァーなども披露。「The Stealer」なんか聴くと、ダニーの「ロジャース度」は半端じゃないなあ。従来もSpencer Davis Group「Gimme Some Lovin'」だのThe Rolling Stones「Gimme Shelter」だの、カヴァーセンスには抜きんでたものがありましたが、ホントにこの人たちは頼りになる、ロックの守護者ですよ。