<今回の作品>
Green Day『NIMROD.』(1997)
メンバー
Billie Joe(Vo, Gt, Harm)
Mike Dirnt(Ba, Vo)
Tre Cool(Dr)
1曲目「Nice Guys FinishLast」は、せんに述べました通り王道的楽曲(でいいかな)。あらためて聴くとエイトのベースラインがイイねえ。パンクパンク。あと、コマかいところではサビの「♪Oh, nice guys finish last~」の後のドラムのライド・シンバル(カップ打ち3発)が良きアクセントになっているのだ。ミュージック・ヴィデオ――例によってファニーな――でもそこんトコがフィーチュアされてますんで、よろしければどうぞ。Tre Coolの叩きっぷりは何か“明るくって”いいなア。
「Hitchin' A Ride」は、私が本作を買ってみようと決心した一曲なのでありますが、ホントにこれは味のある曲。冒頭からちょろっと出てくるヴァイオリン。フレットノイズ入りの跳ねるギターリフ。リズムセクションと重なってのヘヴィシャッフル。あと、よくわからない(笑)歌詞。“My tongue is swelling up, I say one, two, one, two, three, four…”うーむ、輸入盤を買ったんで、歌詞の世界がよくわからない……誰か教えてくれろ。
“♪I was a young boy that had big plans.Now I’m just another shitty old man.~”って何を言い出すんだこの人は、と思ってタイトルを見ると3曲目は「ザ・愚痴」って……。こういうのをキャッチーなメロディーに乗せて歌うのがイイね。この曲でギターの練習もしたもんだ。次の「Redundant」も歌の内容的には類似の方向かな?少しゆったりした曲。
5・6・7曲目と、お得意のメロディアスなナンバーが続きます。「Worry Rock」のギター・ソロには、The Venturesあたりのサーフ(インスト)・サウンドの影響を感じるなあ。個人の見解です。
と、なごんでいると、8曲目に(おそらく)本作中最速の「Platypus (I Hate You)」が。GreenDay(っていうか、作曲者のBillie Joe?)のお陰でいろいろ変な英単語を知ることになりましたけど、platypusって「カモノハシ」なのね。曲は、突っ走って終わちゃう。
一曲挟んでの「Last Ride In」、これも新機軸では?これこそ、さっきちょいと言及したサーフ風インストなのよ。結構こまごまと楽器が重ねられてるしね。(ホーン、鉄琴・木琴?、ヴァイオリン等)この曲「だけ」聴いたらGreen Dayとはわかるまいて。
次の「Jinx」と「Haushinka」は間断なくつながって、メドレー風(?)。そこからの「Walking Alone」は、ハーモニカがのどかな風味を醸し出すミドルテンポの一曲。元気な(Ramones風の?)「Reject」に続いて、不穏なコード進行と吐き捨てヴォイスが強烈なファストナンバー「Take Back」が一分ほど。
バラエティに富んだ作風だねえ、と思いましたけれども、まだ甘かったわ。次の「KingFor A Day」はまたまたニューテイストで、ホーンが導きを果たす「オールド・ジャズ+パンク」な不思議な曲。さっきのサーフ調も含め、彼らがアメリカン・ミュージック史を自家薬籠中の物としていることがだんだん見えてきます。アコースティックな「Good Riddance(厄介払い)」でややしんみりさせたあと、アンコール的(?)に王道「Prosthetic Head」を演じて幕。
全編で五十分ほどですがたいへんにお腹一杯に。アルバム二枚分くらいのアイディアはつぎ込まれているんじゃないですかね。このあたりから彼らは「パンク」の括りに収まらなくなったのかもしれません。……などと言いつつ、その後のよりメジャーになった作品群はほとんどフォローしておらず知らなかった私。
<続く>