私の一番好きなHRバンドはRiotなんですが、2000年代に入り作品発表のペースは鈍化しておりました。Mark RealeがTony Harnell(TNT)と組んだWestworldなんていう良質のコラボレーション・プロジェクトもあるにはありましたが……。本体Riotはなかなかツアーも出来ないようでしたし、シンガーの座が安定しないという不安要素もありました。(2005年9月の来日では、レギュラー・リードヴォーカルのMike DimeoでなくMike Tirelliが歌ってました。)
そんな折に、Riotへの渇望を一部埋める役割を果たしてくれたのが、このFaith And Fireでした。実際に作品が発表されるより前から、ウェブサイトなどは設けられていて、少しずつ情報が開示されていましたが、まずは面子からしてこちらの期待を煽るものでした。Riotに在籍しMark Realeの相棒となっていたMike Flyntz(Gt)が関わっているというだけでわたし的には100点だったんですが、なんとヴォーカルが元Riotでずっと音沙汰の無かったTony Mooreというんですからもうびっくり。ご存知の如く、Tonyといえば、80年代末Riotの『THUNDERSTEEL』『THE PRIVILEGE OF POWER』で歌っていた驚異のハイトーン・シンガー。二十年近く経っているがあのヴォイスは健在なのか?
リズム隊のうちベースのDanny Mirandaは90年代以降のBlue Öyster Cultでプレイしている職人、このことからもクオリティは折り紙付き(と決めつけておりました)。あとは楽曲の方向性。いわゆるモダン趣味を強調していたら私には向かないなあ、などと心配していたものですが……
まさに杞憂というヤツでした。もっとMikeとTonyを信じるべきだった。私は日本盤が出るのを待ちきれず、輸入盤が発売になるとほぼ同時くらいに通販で入手しましたが、内容は実に良質なメロディアスなハードロックでございました。
<今回の作品>
Faith And Fire『ACCELERATOR』(2007)
1. Ready
2. Villanelle
3. Everything
4. Radio Superstar
5. Breathe
6. Faith And Fire
7. Fallen
8. Ashes
9. Avenue Z
10. Accelerator
11. Angel
12. America
All songs by Flyntz, Miranda & Moore
メンバー
Mike Flyntz(Gt)
John Miceli(Dr)
Danny Miranda(Ba)
Tony Moore(Vo)
パッケージデザイン&イラストレーションTony Moore
プロデュース:Faith And Fire
Exectiveプロデューサー:Paul Orofino
Recorded, mixed & mastered at Millbrook Sound Studios(NY)
To our fans: This is truly independent release. We created these songs free of any creative constraints or financial obligations. They come directly from our hearts to your ears, uncompromised by commercial considerations, or the interests and priorities of a record label or investors.
レコーディングに用いられたミルブルック・スタジオは、WestworldやRiotのレコーディングでも使われている、彼らにとってはホームとも呼ぶべき場所。エグゼクティヴ・プロデューサーのポール・オロフィノはそのスタジオのオーナーでもあり、近年のRiotサウンドには欠かせない人物。ということで、音のクオリティは上々。
<続く>