兄のRay Daviesの方は、コンサートでは通常のロックバンドヴァージョンもやっているようですが、リリースするものについては、一ひねりしたものが多い様子。例えば、Ray Davies & The Crouch End Festival Chorus『THE KINKS CHORAL COLLECTION』(2009)なんていう作品は、キンクスの名曲を合唱団に歌わせようという企画もの(レイ自身も歌ってますけど)。どうなんだろうと思いましたが、試聴した感じでは、荘厳なアレンジも結構合うな、という印象。ラリー・ペイジ・オーケストラとは違った意味で楽曲の魅力を提示して見せたレイはやはりただ者ではない。
レイ先生の関わったものでは、次のものがロック色強め。
(27)Ray Davies『SEE MY FRIENDS』(2010)版
Ray Davies『SEE MY FRIENDS』(2010)※[ ]内はゲスト
1.Better Things [Bruce Springsteen]
2.Celluloid Heroes [Jon Bon Jovi & Richie Sambora]
3.Days/This Time Tomorrow [Mumford & Sons]
4.Long Way From Home [Lucinda Williams & The 88]
5.You Really Got Me [Metallica]
6.Lola [Paloma Faith]
7.Waterloo Sunset [Jackson Browne]
8.Till The End Of The Day [Alex Chilton & The 88]
9.Dead End Street [Amy McDonald]
10.See My Friends [Spoon]
11.This Is Where I Belong [Black Francis]
12.David Watts [The 88]
13.Tired Of Waiting [Gary Lightbody]
14.All Day And All Of The Night/Destroyer [Billy Corgan]
15.Victoria [Mando Diao]
レイが様々なアーティスト/バンドとの共演で自作曲をセルフ・カヴァーしたアルバム。Bruce Springsteenと一緒に「Better Things」を歌ったり、Jon Bon Jovi・Richie Samboraを従えて「Celluloid Heroes」をやったり。Jackson Browneと「Waterloo Sunset」をしっとり仕上げたかと思うと、Billy Corgan[The Smashing Pumpkins]とつるんで「All Day and All of the Night」と「Destroyer」のメドレーを作ったりね。Amy MacDonaldとデュエットする「Dead End Street」の気だるい感じも良いし、米国バンドThe 88と一緒にやってる「David Watts」も元気一杯だ。
そんな中にもちろん「You Really Got Me」もありますよ。共演相手はMetallica。James Hetfield(Vo, Gt)・Kirk Hammett(Gt)・Lars Ulrich(Dr)・Robert Trujillo(Ba)。ギターソロあけに「♪You really got me(You really got me)……」のコール&レスポンスを短く挟む以外は原曲に近い構成で、引っ張らないでサクッと終わる。ジェイムズの歌唱も、例の語尾を「♪ーえーあ」ってのばす歌い方をこれでもかと強調してて微笑ましいですが、完全にバックがヘヴィ・メタルでありながら、2番のアタマからシレっと入って来るレイ御大の貫禄はすげえ。若頭と大親分の格の違い(?)。あと、ラーズのキックパターンはオリジナルともヴァン・ヘイレン版とも異なる独自のものでちょっと面白い。この人は、凄くうまい人っていうわけでもない(ライヴだと危なっかしかったりするし)けれど、ありきたりのメタル・ドラムじゃないんだよね。真似するのも難しい。
あ、ネット上には、メタリカとレイ・デイヴィスが共演した(2009年らしい)「All Day and All of the Night」の映像もありましたよ。
<続く>