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"Secrets are fun to a certain degree, but......"<Jake Holmes>

第36回「You Really Got Me大特集」(12)

22Mariska Veres and Shocking Jazz QuintetSHOCKING YOU1993
  1.He’s Not There
  2.You Really Got Me
  3.Shocking You
  4.Radar Love
  5.Try A Little Tenderness
  6.Venus
  7.I Feel The Earth Move
  8.Never Marry A Railroad Man
  9.Somebody To Love
  10.A Lot Of Living To Do
  11.All By Myself
  12.Rocking Good Way
メンバー
 Mariska VeresVo
 Bert MeulinkBa
 Wim NienaberAlto Sax
 Mark EshuisDr
 Pieter van SantenPiano
 
イメージ 1

 

 これまた珍品。オランダの名ロックバンドShocking BlueのリードシンガーだったMariska Veresをフロントに据えたジャズ・クインテットの作品、その内の一曲が「You Really Got Me」であります。洋楽ファンの方なら反応されるでしょうが、このアルバムの楽曲は、ショッキング・ブルーのセルフ・カヴァー(?)と、古今東西のロック名曲のジャズ・ヴォーカル・ヴァージョン。これが結構本格的なジャズでして、以前ご紹介したCrimson Jazz Trioのごとき(あっちの方が時期はあとですが)味わい。
 
 1曲目元曲はThe ZombiesShe’s Not There」ですが、これが何とも洒脱なジャズナンバーに。Mariskaの歌唱は往年の力強さに、スウィング感と円熟味を加えた堂々たるもの。今回目玉の「You Really Got Me」も、バックは完全なジャズで、その達者な演奏も良いですが、歌が前に出て来るのがナイス。サックス・ソロを含む間奏のあと、歌に戻るんですが、この2分過ぎ辺りからのスキャットが異常にカッコええ。そこから今度はピアノ・ソロが引き取ります。320秒辺りから最後のセクションを歌入りで決めてエンド。オリジナルのロック風味を完全にぬぐってしまっているにもかかわらず、やっぱり「You Really Got Me」にしか聴こえない……アレンジが巧いのもあるし、原曲の力が強いというのもあるでしょうが、このテイクはホントに面白い。「You Really Got Me」コレクターの皆さん(いるのかな?)、これはおすすめですぞ。
 
 3曲目の「Shocking You」や6曲目の「Venus」、8曲目の「Never Marry A Railroad Man」はShocking Blueの名曲。「Shocking You」のオリジナルは、独特のリズムパターンが畳みかけるヘヴィナンバーで、“♪The sound of guitar is sparkling lightning. The sound of bass like a hurricane. Join the crowd and we’ll be shocking you.”等々といった歌詞が聴衆を高揚させるものでした。が、それもここでは4ビートのジャズに大変身、Mariskaも歌のラインを結構変えてますね。
 
Venus」――余談ですが、懐かしいですな。むかしバンドでよくこれを叩きました。コーラスつけながら――なんて、ギターレスでどうやるのかと思ったら、ストレートにピアノに置き換えてきましたな。「Never Marry A Railroad Man」――これもバンドでよくやりました――は改変度合いが大きいね、歌詞を聞かなかったらそれとはわからないくらい。気合いの入ったサックス・ソロが好印象。
 
 もう一曲だけ「Somebody To Love」について。これもねえ、むかしバンドでやりましたのよ。やっぱりコーラスをつけながら。Jefferson Airplaneのヒット曲ですね。ヴォーカルラインは比較的オリジナルに忠実かな。ちょっとおもしろいのは、140秒辺りからの15秒ほど伴奏がホンキートンクラグタイム調(?)ピアノ・オンリーになるところ。明らかに音色が変わって……そのあとサビが歌われると、通常のジャズ・ピアノソロに入るんですがね。終盤はMariskaの力強い歌唱が締めます。
 
 他の曲も含めて、聴くごとにいろいろ発見がありそう。いやあ、これは掘り出し物でしたね。
 
 なお、Mariskaさんは、残念ながら2006年に亡くなられております。Shocking Blue時代の偉業については機会を改めると致しましょう。Nirvanaも大好き、「Love Buzz」もあることですから。
<続く>