DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

第34回「DEWPRISM」(続)

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 そのむかし、プレイステーションというゲーム機がございました。(いや、いまもあるはあるんですが。)私は1990年代末頃に手に入れまして、ちょこちょこ遊んでおりました。兄弟が居たので対戦格闘ものをやるとか、クラシックな感じのRPGポポロクロイス物語とか――これは名作だったと今でも思う)を進めるとか、そういうことが多うございましたね。新作ソフトに次々手を出すということはありませんで、中古屋へ行っては“ひと昔前にはやったもの”であるとか“マイナーそう(?)なやつ”であるとかいった、割合安価に入手できる作品を買ってきてやる、というのが常でした。
 
 で、そういうなかで珍しく新品を買ったのがスクウェア(当時)から出ていた『デュープリズム』というゲームでございました。スクウェアっていう会社は私ごときでも知っているくらい有名でしたし、パッケージや宣伝文句からもおもしろそう(殺伐としてなさそうなのも私の趣味に合った……)でしたので、ちょっと興味はあったわけですが、最終的に買った理由は簡単。地元の電機店が「お年玉セール」とかなんとか銘打って新品ゲームソフトの安売りをやってたからでして、確か980円だったんじゃないかなと思います。同作はリリースされてから一年以上たっていたはずですね。ゲーム自体にたいへん満足したことは、前回申し上げた通りです。
 
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 音楽にも感銘を受け思わずサウンド・トラックを探した、というものは私にはあまり多くありませんで、他には(前述の)『ポポロクロイス物語』など若干がある程度。内容的には、アレンジが施されたものよりも、ゲーム本体で使われていたのと同じものを聴くのがいいですね。その点で、作者が次のように仰っている本作もとても好ましいものでした。
 
「ちなみにデュープリズムの音楽は、全曲、プレイステーションの内蔵音源による演奏です。CDによる演奏に比べれば、音質面も音色を蓄えておけるメモリー容量も少なく、様々な制約がある演奏方式です。しかしながら、今回作曲に関してもとりたてて制約を感じることもなく、最終的な音質面としても内蔵音源としてはおそらく限りなく限界点に近い高品位な演奏となっています」〔ブックレットより〕
 
【曲目】(再掲)
Disc RUE
01. デュープリズムのテーマ
02. 予兆
03. クレアとの絆
04. 旅立ちの森
05. ブラッド&スモーキーのテーマ~マヌケな悪者2兄弟~
06. ブラッド&スモーキーバトル
07. 元気!
08. 岩山空中庭園
09. ベル&デューク
10. ドラゴン
11. 湖水の遺跡
12. 川の上流
13. モードマスター
14. ファンシーメル
15. 回想
16. ブックオブコスモス
17. かなしみのプリマドール
18. 恐怖
19. ドールマスター
20. ラスダン
21. 最後の戦い2
22. 脱出!
23. 巡る想い~クラウス~
24. 邂逅
25. フィナーレ~ルウ~
26. 教会
 
Disc MINT
01. デュープリズム~タイトル~
02. 素敵な予感
03. ミントのテーマ
04.
05. ベル&デューク2
06. 東天王国の謎
07. 地下遺跡
08. ロッド~熱いソウル~
09. 行く手をはばむものたち
10. ミントのたくらみ
11. ゴーストテンプル
12. ミントのたくらみ2
13. 川の上流(slow)
14. トラップマスター
15. ファンシーな世界
16. かなしいうた
17. 呪術
18. ちょっとドキドキ!
19. 集いし者たち
20. マヤのテーマ
21. バトル
22. 最後の戦い
23. 荘厳
24. ファンシーな気持ち
25. フィナーレ~ミント~
26. さよならのうた
27. デュープリズムTVCM15CM版~
28. デュープリズムTVCM30CM版~
 
個別トラックについてもう少しだけ。
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主人公2人――生真面目で稀に辛辣なルウと横暴・野心的・ポジティヴなミント――に応じて、それぞれのテーマ的な音楽も異なります。同じ「宝」を求めて冒険する物語ですが、ルウのストーリーは全般にシリアス、ミントのストーリーは全般にコミカル。お互いのシナリオに「脇役」としてもそれぞれ登場するというのが面白いところですが、たとえばミントが出てくるところでは「ミントのテーマ」「ミントのたくらみ」「ミントのたくらみ2」が流れます。主人公なのに「たくらみ」?と思いますが、ミントはまさに「お宝を手に入れて、その力で世界征服」を“たくらんで”いる(「公言している」ので、陰謀感皆無ですが)ので、イメージによくフィット。
 
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主人公以外のキャラクターにも、それぞれテーマ曲が。チンピラ悪党「ブラッド&スモーキー」、闘う武器職人「ロッド」(ミントに“アイツのビンボーは半端じゃないわ”とか言われちゃってますけど)、お宝を狙う「ベル&デューク」の二人組、「ドールマスター」をはじめとするボス級敵キャラ、物語の「カギ」となる「プリマドール」などなど……それぞれのイメージを表す楽曲がありまして、地中海風(フラメンコ調?)の小粋な「ロッド~熱いソウル~」もあるかと思えば、陰謀をめぐらす強大な敵の恐ろしさを表現した「ドールマスター」も。
 
そのほかに各フィールドの音楽やバトル音楽ももちろん網羅。作品未体験でもパッケージとして楽しめるかなと思いますが、やはりゲームを楽しんでからだと一層味わい深い、ですかね。
<完>