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"Secrets are fun to a certain degree, but......"<Jake Holmes>

第27回「Y&T」(3)

<関連作品>
1Jimmy DeGrassoの仕事
 たぶん私が最初にJimmyさんのドラミングを聴いたのは、MegadethRISK(1999)でだったと思います。RISKは、最初に買ったMegadethのアルバムでもありました。今思うと結構な話ですよね、MegadethはつたいけんがRISK……高校生だった当時はメタル知識も十分になく、「なんか有名なバンド。メタリカとかとおんなじくらいすごいらしい」とだけ聞いていて、CDショップに行ったら「ニューアルバム!」として置いてあったから(なけなしの小遣いをはたいて)買ってみたら、「?」。いまでこそ冒頭の「Insomnia」とか嫌いじゃないし、Dave MustaineMarty Friedmanのやりたかったことも多少はわかりますが、「スラッシュメタル!」(わかりやすい激しさ)を期待していた当時の自分は、まあビックリしましたな。正直このアルバムではJimmy DeGrassoが凄いとは気づかなかった。
 
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 ※左:David Ellefson、右:Jimmy DeGrasso(Megadeth1999)

 その後しばらくして、メガデスへの興味もほぼ失っていたころ、『BURRN』という雑誌のアルバムレビューのコーナー(だったと思うのですが)に、RUDE AWAKENING2002)というライヴ盤が載りまして、評者が「メガデスメタリカと違って近年のライヴでもヌルくなっていない」みたいなことが書いてあったのですよ。「むう?」と思いつつ真に受けた私。輸入盤の安いCDショップで同作を見た、買った、聴いた。

 RUST IN PEACE以前の初期楽曲の殺気立った感じも素敵でしたが、「She-Wolf」ってえ曲が物凄いことになっていましたのです。Dave MustaineAl Pitrelliのギターソロ・掛け合いもさることながら、中間にフィーチュアされたJimmy DeGrassoのドラム・ソロ……楽曲の勢いのままなだれ込み、140秒ほど披露されますが、良い。録音が上手いのもあると思うが、バスドラとスネアの音の硬質さ加減が絶妙だなあ。Y&Tにしても後述のAlice Cooperにしてもそういえば好きな盤はライヴ盤……Jimmyさんの好む音(チューニング)が私の趣味――音の粒が立って聴こえるタイトさを所望――とよく合っているのですな。もちろん叩き方もね、過度に機械的になってないところが味わい深さ。
 
 Alice CooperA FISTFUL OF ALICE1997)というライヴ盤もわが好物。バンドとしてのALICE COOPERの偉業は70年代前半までの作品にありますし、ソロアーティストとして独立したシンガーAlice Cooperのその後の活躍もたいしたものですが、両時代の仕事をライヴで味わえる本盤もお薦め。Sammy Hagar所有のクラブでレコーディングされたものだそうですが、Alice本人も好調のうえ、Sammyをはじめ豪華ゲスト参戦でお祭り状態。

 冒頭の「School’s Out」でSammy HagarLead Gt)、My favotriteアリスアルバムTHE LAST TEMPTATIONの「Lost in America」では(他に「Only Women Bleed」でも)SlashLead Gt)、「Feed My Frankenstein」でRob ZombieVo)、最終曲「Elected」でSlashRob Zombieと。で、そのバックにあたる標準バンドがJimmyDeGrassoDr)+Todd JensenBa)+Reb Beach, Ryan RoxieGt)+Paul TaylorKey)。RebPaulは元Winger組ですなあ。
 
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 楽曲の幅はMegadeth以上に広いわけで、HM/HR的なものからロックンロール的なものにつないだり、インダストリアル風のもので無機質に攻めたかと思うと古典的なバラードを聴かせたり……とさすがのAliceワールド。で、Jimmyさんが地味に良い仕事をしているのですわ。アタマの「School’s Out」での、“鞭でひっぱたくような”とでもいえばいいのかな、タメがきいていながらダレない推進力のあるドラミングでまず引き込まれます。あとはもう名曲群「Under My Wheels」だの「I’m Eighteen」だのを楽しめばよいので。

 ついでに脱線すると、「I’m Eighteen」は、John LydonJohnny Rotten)がマルコム・マクラレンの店のジュークボックスで初めてバンドメンバーに披露した「歌」だったそうですぜ。なんでも、「それ以外の世の中の曲はぜんぶ気に入らなかったから」ということで、このときの(楽曲をおちょくるように歌ったともいわれる)アティテュードが気に入られ、彼がバンド(Sex Pistols)のシンガーに収まったとか。当時王室並みの人気だったとかいう“Pink Floyd”のロゴ入りTシャツに自分で“I Hate”と付け加えて街中を歩くような輩だったJohnさんらしいいい話だ。
 
 閑話休題。バラード調に始まりハード・ロックになる「Desperado」、スラッシュのギターワークもイケてる「Lost in America」(閉塞感のある歌詞を楽し気なロックンロールに乗せているところが毒々しい。こういうのが好きですな)、ちょっとThe Beatles(というかJohn Lennon?)風のバラード「I Never Cry」とか、お得意のキャッチーなロックンロール「Bed of Nails」、必殺「No More Mr. NiceGuy」(Megadethもカヴァーしてる)、Rob Zombieを従えたインダストリアル風(?)の「Feed My Frankenstein」なんかを経て、ラストの「Elected」(たしか邦題が「アリスは大統領」だったハズ)。

 “I wanna be elected…respected…”と歌われる、選挙・政治家を題材にしたシニカルソング(だと私は解釈しているんですが)。毒のある内容をたのしいロックンロールにするところがAlice Cooperの(この曲に関してはバンドとしてのALICE COOPERの)真骨頂。サビの「♪Elected~」からのコード進行が素敵。原曲(1973)はSEやホーンの入るゴージャスな音作りでしたが、このライヴではそれらがない分タイトな印象に。その功労者がJimmyさんとベースのToddさんなのではないかと!<続く>