DON'T PASS MUSIC BY

"It's money that rules the world......"<Gamma Ray>

第27回「Y&T」(2)

<作品について>
 YESTERDAY AND TODAY LIVEは、再結成より前の、いわゆる本活動時の締めくくりに録られた作品だけあって、全盛期の集大成的なセットリストになっているようです。また、バンドの解散を決意していたとはいえ、よくある「仲違いでの解散」などではないためか、パフォーマンスは安定していて素晴らしいもの。わたくしのような一見モンも十二分に楽しませてもらえました。オリジナル・メンバーにこだわりがあるのでなければ、いわゆるベスト盤としても聴けるのではないでしょうか。
 
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 ライヴは、オープニングMCに続いて「Mean Streak」で始まります。お、Phil Kennemoreの八分のベースがドライヴ感を醸し出してるなあ。Dave Menikettiのギターソロは(伊藤氏が称賛するように)確かに絶品。次の疾走ナンバー「Hurricane」の前奏・間奏でも印象的なギター・ソロを奏でてる。この2曲だけでDaveの本格派ギタリストとしての力量は十二分にわかりますね。速いパッセージの弾きこなしもそうですが、ヴィブラートの掛け方が絶妙なんだなあ。
 
 「Don’t Stop Runnin’」は、やはり同系の疾走曲ですが、コード進行とサビ展開の爽やかさ・明るさが素晴らしい。それでいていわゆる“産業ロック”とどこか雰囲気が違うなあ。あ、Daveの歌唱が暑苦しい(これはほめ言葉です!)からだ。そう、ここまでDaveさんのギター話ばかりでしたが、この人は「歌える」の。それも、すごくエネルギッシュにね。そこは他の“人間国宝系ギタリスト”――Gary MooreとかMark Realeとか――と異なる武器かもしれない。
 
一方、次の「Struck Down」はミドル・テンポのヘヴィナンバー。Jimmyさんのパワフル・ドラミングがいい感じ。静かに始まるその次の「Winds Of Change」は、バラードですか。サビの“Winds of change…”という絶唱が胸を打つ……と思うと、十八番“泣き”のギター・ソロが。しんみりしていると、おどろおどろしいリフから激しい「Black Tiger」へ突入。この緩急のつけ方が見事です。
 
次が件の日本公演をモチーフに作られたという「Midnight in Tokyo」。曲間MCDaveが「Domo arigato, Midnight in Tokyo!」と言ってから始まるので「おっ!」と思いますが……ちなみにこのライヴは「ライヴ・イン・ジャパン」ではありません。サンフランシスコでのライヴで、わざわざ“日本語”を交えているところにDaveたちの思い入れが感じられるという次第。楽曲は、ちょっと初期Scorpionsっぽい泣きツインギターから三連シャッフリング・ロックに行き、最後にまた戻るという構成。聴きごたえあります。
 
Beautiful Dreamer」は本作中では初出の最も古い曲。Whitesnakeとか第3Deep PurpleとかのブリティッシュHR風味が強いですかね。この曲でも、Daveのギターがまさしく「魔法の杖」で、ともすれば単調になりがちな曲調にカラフルなソロでいろどりを添えております。そしてこの曲の終わった後、MCで「僕らは17年やってきた……ずっとやってこられたのは、一つには自分たちのやっていることを自ら信じてきたからだけど、最も大きな理由は、最高のファンに恵まれたからだよ」(注:聴き取りに基づくので大意です)と打ち明け、彼らの(当時)最終作となったTENからの「Hard Times」に入っていきます。イントロからのアコースティック・ギターは、(クレジット通りなら)Stef Burnsによるもの。これをバックにDaveがしっとり歌い上げたかと思うと、ハードなミドルテンポ・ロッカーに展開。ギター・ソロ前あたりからのPhilのうごめくベースラインも面白いですが、ギター・ソロの途中から疾走しはじめ、またミッド・テンポに戻り……と彼らにしては起伏の多い構成。おもしろい曲、意欲作ですね。
 
I’ll Cry」はギター・ソロが中心のインスト。Gary MooreのParisienne Walkways」に雰囲気が似ているような。Daveのギターを堪能した後は、名盤EARTHSHAKERから2曲。ヘヴィなパワー・バラード「I Believe In You」、ハイパーなアップテンポの「Squeeze」。後者はPhilがリード・ヴォーカルなんですが、ちょっとTygers of Pan TangJess Coxを彷彿させる“音程起伏少ない系”(?)で、味があっておもしろい。ギターに専念したDaveは鬼神の如き(大袈裟?)弾きまくり。そして、ラストは「Forever」。情感あふるるイントロから、二拍三連のハード・ロックへ。「これで最後だ」という思いからか、歌も演奏も気迫のこもった凄いものになっております。
 
むう、これだけの良い曲と素晴らしいパフォーマンスを披露する集団がバンド継続出来なくなったとは、90年代という時代の厳しさ・理不尽さを感じずにはいられませんね。(たびたび引き合いに出して恐縮ですが、わがRiot90年代にはメジャーからドロップして、本国USAでは細々としか活動できなかったのです。「本格派冬の時代」!)<続く>