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"You are the part that you're giving......"<Renaissance>

第23回「Van Halen」(1)

 「V」……やはりヴァン・ヘイレンですかねえ。しかしあれだけ有名なバンドについては、いまさら述べ立てることもあまりありますまいね。バイオグラフィーなど私が紹介しなくてもよく知られている(ORスグ調べがつく)ことでしょうし、レビューもそれこそ星の数ほど存在してますから。

 

 そこで今回は一つ、「編集盤」を取り上げるという変化球をお許しいただきます。
<作品紹介>
Van HalenBEST OF VOLUME Ⅰ』1996
1. Eruption
2. Ain't Talkin' 'Bout Love
3. Runnin' With The Devil
4. Dance The Night Away
5. And The Cradle Will Rock...
6. Unchained
7. Jump
8. Panama
9. Hot For Teacher(日本盤ボーナス)
10. Why Can't This Be Love
11. Dreams
12. When It's Love
13. Poundcake
14. Right Now
15. Can't Stop Lovin' You
16. Humans Being
17. Can't Get This Stuff No More
18. Me Wise Magic
メンバー
 Alex Van HalenDr
 Eddie Van HalenGt, Key
  Michael AnthonyBa, Cho
 David Lee RothVo*トラック291718
 Sammy HagarVo, Gt*トラック1016
 
イメージ 1

 

 先に申し上げておくべきでしょうが……本作は題名通りの「ベストアルバム」なのですが、その後もっと充実したベスト盤(THE BEST OF BOTH WORLDS2004年)が出ましたことで、その意義はやや微妙なものになってしまいました。一部の新曲・レア曲――これも大枚はたく価値があるとは言い難い……――が聴けるという以外は、『~BOTH WORLDSの方がナイス(初めてバンドに触れてみたいという人向けにも)かと思います。タイトルにVOLUME Ⅰ』とあったのに、『VOLUMEⅡ』が出る前に別のベストが出ちゃったというあたりも、ちぐはぐな産物。(こういう代物は、先だってご紹介したHEAVY MTEAL ARMY 1だとか、The ClashTHE STORY OF THE CLASH VOLUME 1だとか、意外にあるのですね。)Van Halenがちょっとごたごたしてるときに苦し紛れに出した編集盤だったことは否定できないところでしょう。

 

 じゃあつまんないかというと、そうでもありません。少なくとも私(当時中高生)にとっては、役に立ってくれました。アルバム一枚でキャリア全体をつかめるうえ、単純なことですが時代順に楽曲が収録されているのでバンドの変遷も学びやすかった。

 

 本ベストは冒頭「Eruption」というインストゥルメンタルで幕を開けます。Eddie Van Halenの代名詞ともいうべき速弾き、派手なタッピング(“ライトハンド”)やアーミングが炸裂するのですが、初めて聴いた時は吃驚仰天でした。どうやってこんな音を出してるのか。曲の最初はドラムやベースも入ってるのに、途中からなくなってギターだけの独壇場になるっていう構成もムチャクチャ(いい意味で?)。StingやらBilly Joelやらの「構築された歌モノ」しか聴いたことがなかった私には衝撃だったのですよ。で、そこから印象的なリフに導かれる「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」が始まっていくという流れ。このつながりにあまりにもなじみ過ぎてしまったために、後年あらためてファーストアルバムを入手して聴いた際には「あれ、変じゃん?」とか(逆に)思ってしまったほど。オリジナルアルバムVAN HALEN1978)は最初が「Runnin’ With the Devil」、次に「Eruption」があってからThe Kinksのカヴァー(であり、VHの最初のヒット曲)「You Really Got Me」になって、ようやく「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」ですからね。

 

 ベスト盤3曲目、ミドルテンポの「Runnin’ With the Devil」はその頃は少しおとなしく思えましたね。ギターを弾く人間でなかったので、Eddieの技が細かいところまでわかりませんでしたし、David Lee Rothの「歌に味がある」ということも感じとれていなかったので。いまあらためて聴くと良いなあ。ここまでがデビューアルバムからの選曲。「You Really Got Me」はカヴァーの為か本ベストには入っておりません。

 

 2作目のVAN HALEN Ⅱ』1979)からは「Dance the Night Away」が採られています。随分とキャッチ―な歌モノで、「一年ちょっとでずいぶんカラーが変わったのだなあ」と感じたことを覚えております。これまた最近セカンドアルバムをフルで聴いて、「Dance~」の方が例外的なのであって、他の曲はむしろ従来と同じかそれ以上に躍動的でロック色豊かだったのだとわかった次第。リアルタイムでチェックしていないとこういうことが起こる。

 

 ベストの5曲目「And the Cradle Will Rock…」はWOMAN AND CHILDREN FIRST1980)から。6曲目「Unchained」はFAIR WARNING1981)から。後者はシングルカットされていない曲だそうですが、キャッチーさでは劣らぬ名曲。このベストの中では割とよく聴いた方ですな。曲中(曲間)のDavid Lee Rothによる“語り”っぽいパートもいかにもという感じ。

 

 次の3曲「Jump」「Panama」「Hot for Teacher」は19841984)からの選曲。「Jump」は私が初めて聴いたVHの曲で、バンドでもやったことがあるんで物凄い思い入れがあります(後述)。オリジナルアルバムと同じ流れで「Panama」につながるのも良し。「Jump」が大胆にキーボードを導入した(ギターはその分引っ込んだように聴こえる)のに対し、「Panama」はギターを前面に押し出したハードロック。ただ、何が「パナマ」なのか、歌詞を読んでもよくわからないんですけど……誰か教えて下さい。日本盤ボーナストラックの「Hot for Teacher」は、派手なギターの聴ける超高速のブギー(か?)。妙な効果音と小芝居のところはDavid Lee Rothの個性を表現してるんでしょうし、アタマと中間のすげえ速弾きはEddie Van Halenの“世界一のロックギタリスト”の意地を感じるのですが、私が感銘を受けたのはドラム。コレを聴くまで、Alex Van Halenていう人のこと誤解してた。「ミドルテンポの曲は得意なようだけど、(私の好きな)Ian Paiceみたいな軽妙さがないんだよなあ」とか決めつけてた自分が愚かでした。

 

 このベストの構成で思い出した、まるっきりこじつけっぽい話を一つ。本ベストはデビューアルバム(VH)と、オリジナルラインナップ最後のアルバム(1984)からの選曲が最多なんですが、むかしお世話になったKing Crimsonのベスト盤SLEEPLESS:THE CONCISE KING CRIMSON1993)もそうだったなあと。Robert Fripp氏の意向でIN THE COURT OF CRIMSON KING1969)とRED1974)からの曲が多かったそうで。こっちのベストの選曲に誰の意見が最も反映されているのかは知りませんけども、やっぱりデビュー作は重要なんでしょうね。音楽ファンなら誰でも(?)、自分の好きなグループの「ベストアルバム」をカセットテープで(!)編集したことがあろうかと思いますが、「編む」作業って最高に楽しいですよね。出来上がったやつを友達に「良いから」とかいって押しつけたりして。……思い起こせば友人諸君には随分と迷惑をかけた(かけてる)。