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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第18回「Qango」(続)(1)

ということでここから【後編】は、Qangoで頑張ってた二人についてちょっとだけ掘り下げ。
 
John Young
1John WettonARKANGEL1997
 まずはボス、ウェットン先生 のソロアルバムへの参加から。ジョン・ヤングはソングライティング・パートナーとして迎えられた感が強く、「Desperate Times」「Arkangel」「You Against the World」「All Grown Up」「After All」「The Celtic Cross」を共作。ウェットンさんは一人で詞も曲も書く人ですが、Eddie JobsonだとかGeoff Downesだとかキーボーディストと協同で作ったものに傑作が多いですね。


 「Desperate Times」はサックスの入るメロウなバラード。「Arkangel」はアコースティック楽器(含ストリングス)をバックにウェットンが歌い上げる荘厳な歌曲。続く「You Against the World」は一転して、打ち込みのリズム(?)に生楽器をライトに被せたポップソング。ピアノ・ギターの伴奏で淡々と始まり、中盤からオーケストレーションにより大仰に展開する「After All」は、ウェットンさんがその後も取り上げ続けた佳曲。「The Celtic Cross」はやはり弦楽器の入る壮大な雰囲気のインスト。Youngさんがキーボードを弾きまくる曲、というのはありませんが、このアルバムでの貢献は大きいみたいです。
 
2GreensladeLIVE 2001:The Full Edition2004
 70年代プログレッシヴロックの名バンドGreensladeのライヴ作。オリジナルメンバーのDave GreensladeKbd)とTony ReevesBa)に、新メンバーとしてJohn TrotterDr)と共に参加したのがJohn Young氏。彼はここではキーボードとヴォーカルを担当しています。
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この作品では、70年代の名曲に加え、2000年に発表した再結成アルバムLARGE AFTERNOONからも多数披露されています(John Youngはそちらにも参加してました)。もともとツインキーボードを売りにしていたバンドなので、Youngさんのプレイもバンド創設者Dave Greenslade氏のそれと共に大きくフィーチュアされています。オープニングの「Cakewalk」(LARGE AFTERNOON所収)は、インストゥルメンタル2曲目「Feathered Friends」(1973年のデビュー作GREENSLADE所収)では、Youngさんの歌唱が聴けます(特に個性的なヴォイスというわけではありませんが)。以降も新旧の楽曲が織り交ぜられていくのですが、ハイライトは11曲目の「Joie de Vivre(邦題:生きる喜び)」でしょうか。起伏に富み11分半に及ぶ大曲で、歌にキーボードにヤングさん大活躍。その後短めのアンコール曲、シャッフルのパートが快い「Spirit of the Dance」で締め。


 Qango同様、“これが彼らの最高傑作というわけではない”にしても、時折聴きたくなる“プログレ遺産”のひとつ。
 
3LifesignsLIFESIGNS2013
 Young氏は他人のバンドに入るばかりでなく、自らのグループも立ち上げました。Lifesignsは、John Youngが曲を書き自ら歌うプログレバンド。このデビューアルバムには、ベースにNick Beggs、ドラムにMartin Beedleという腕利きが参加し、70年代アートロックの二十一世紀的解釈というかそんな感じの音を出しています。自分の曲だからかわかりませんが、Youngさんの歌ものびのびしていて素敵。1曲目の「Lighthouseからし13分近くあるのですが、聴き手を飽きさせも疲れさせもしません。全5曲で53分という、“プログレ”作品。


Dave Kilminster
1JohnWettonNOMANSLAND1999
 ジョン・ウェットンのライヴ作品。1998年のポーランド公演を収めたものですが、ここにDave Kilminster氏が参加。ウェットンさんはある時期からやたらライヴアルバムを出すようになったのですが(海賊版対策が理由らしい)、これはそれらの中でも出来が良い方だと思います。ご本人の声もよく出ているし、周りのプレイヤーもかなりうまく演奏しています。
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1曲目の「The Last Thing On My Mind」(オリジナルはARKANGEL所収)からグレイト。個人的なことをいえば「この一曲、このヴァージョン」を聴かなかったら、わたくしはウェットン・ソロを集めようなどとは思わなかったであろう。ミドルテンポの荘厳な曲でありますが、中盤・後半でDaveが繰り出すギターフレーズ(この人は様式美メタル的な速弾き、特にスウィープを得意としているみたい)がスリリングさを加え、耳が離せなく(?)なります。続くAsiaの「Sole Surviver」も、バックが丁寧で(わけてもドラムがしっかりしてる)、ウェットンの歌も映えます。後奏でまたもDaveが弾きまくり。わたくしは許せるんですけどこういうの。


Dave Kilminsterに注目すると、U.K.の「In The Dead Of Night」ではオリジナルのAllan Holdsworthの超難度ギターソロを完全にフォロー(完コピ?)。かと思うと、Wettonバンドオリジナルの「The Birth of Igor」では繊細なアコギ使いを見せ、終盤のハイライト「Starless」(オリジナルはKing CrimsonRED所収)では、楽曲後半の怒涛のインストパートでオリジナルにとらわれない――というか、Robert Fripp先生のフレーズはほぼ無視した――ソロイングを展開。
 Kilminster2000年代には元Pink FloydRoger Watersのバンドで活躍するのですが(わたくし未聴)、John WettonGeoff Downesが「ICON」名義で出した3枚目のアルバムICON 3にも参加、ツアーにも加わりました。(ICON 3ではギターはちょっとおとなしい印象。) (続く)