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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

第17回「Peter Frampton」(4)

【後編(続)】

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 作品はというと、最初の4曲がまず元気なロック。2曲目なんかは、間奏にほんのりとファンク風味もあったりしますし、3曲目は例のトーキング・モジュレーター大活躍。コレ、音だけを先に聴いたらなんだかわからなかったろうなあ。

 

次にピーターはギターをアコースティックに持ち替え、ほぼ弾き語りでしんみりと5曲目・6曲目を演奏。この人はアコギも上手だなあ。7曲目は、バンド形式に戻って、前作FRAMPTONからのシングル曲に(オール・スター・バンドでもやりますね)。次いでシンプルながら跳ねる躍動的リズムが楽しい8曲目へ。この人のギターソロのフレージング、Humble Pie時代からそうなんですが、よくある典型的な(ブルーズ由来の)スケールとちょっと違うような気がするんですけど。どうなんでしょう。ギターや楽理に詳しい人教えて下され。

 

9曲目は短いアコギのインスト。こんなのでも観客が超盛り上がってるのが何とも良い。10曲目はヘヴィなハードロック、「金やるぜ」。11曲目は、Humble Pie時代(アルバム『ROCK ON』収録)の再演「Shine On」、これもフランプトンのレパートリーの中ではヘヴィ目の一曲かな。で、次がThe Rolling Stonesのカヴァー「Jumpin’ Jack Flash」なんですが、けっこうアレンジが加えられている上、尺も長くなっています。これより早くに、Johnny Winterが同曲をハード・ロックンロールとして演ったことがあるんですが、そっちには影響を受けてないみたいね。

 

バンド形式ではあるが静かなバラードの13曲目を経て、ラストが「Do You Feel Like We Do」。オリジナルのFRAMPTON'S CAMEL収録版は644秒だったのに対し、ここでは1415秒の大作になっております。といって、「プログレ」な複雑さはなく、ジャズの即興回しのように、エレクトリック・ピアノ→ギターソロ→トーキング・モジュレータの見せ場→ギターソロとつながれるのですけれど。この曲は7分強に短縮された(?)ヴァージョンがシングルカットされまして、米国では10位にチャート入りしたといいますよ。

 

というわけで、名作FRAMPTON COMES ALIVE!』でございました。
 
で、その後のピーターさんについてですが、すみませんあまり詳しくわかりません。どういうアルバムが出ているかは調べが付きますが、白状しますとさほど熱心にフォローはしていないもので。あ、1994年のPETER FRAMPTONというアルバムは持っていますね。元気なロックインスト「Off the Hook」や、かつての盟友(であり、この後事故で亡くなってしまう)Steve Marriottと作った「Out of the Blue」なんかが入っています。リンゴのオール・スター・バンド入りはその後のこととなります。

 

2000年代に入ってもピーターさんは元気に作品を作り続けていることは確かです。近年は、76年の『~COMES ALIVE!』から35周年、ということでアニヴァーサリーのツアーとライヴ盤を出してました。あと、ちょっと嬉しかったのは、さきにも触れたSteve Marriottを追悼するメモリアル・コンサートにHumble Pie名義で参加していたことですかね。2001年に行われたコンサートは、Paul WellerやらNoel GallagherやらといったSteveを尊崇するアーティストや、The Small Faces時代の仲間ら多数が集まったものだったんですが、そこに「Frampton-Ridley-Shirley-Clempson」のラインナップでHumble Pieが出たんです。Steveという強烈な個性(特に声)の持ち主はいなくても、名曲は名曲だなあと思いましたね。モッドともソウルフルハードロックとも離れていたフランプトンさんが久々にPieの一員として舞台に上がり、溶け込んでいたのには感銘を受けました。ソロで大成功した人ですが、あんまりエゴを出さない人なんでしょうか?
 
<今回取り上げた作品>
1Peter FramptonFRAMPTON COMES ALIVE!』1976
 作品については上述。あと、なんか最近(20174月)ローリー(Rolly)さんが“日本ロックの名曲”を演じたダブル・ライヴ・アルバムがROLLY COMES ALIVE!っていう名前で出てますね。ジャケットもFRAMPTON~』をパク……オマージュを捧げてますな。ローリーさんは洋邦のロックに詳しいお人ですからねえ。
 
2Peter FramptonPETER FRAMPTON1994
 いまこれを書きながら聴き直してるんですが、結構いいですね。この人、アルバムの中でハードなロックも、ジェントルなアコギインストも、ポップな歌モノも詰め込んでくれちゃうタイプなんでしょう、飽きない。
 
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3Humble PiePERFORMANCE: ROCKIN’ THE FILLMORE1971
 「Four Day Creep」「I’m Ready」「Stone Cold Fever」「I Walk on Glided Splinters」「Rollin’ Stone」「Hallelujar I Love Her So」「I Don’t Need No Doctor」(ライヴ)を収録。1曲目の「Four Day Creep」は、ツインギター+骨太ベース+(わたくしの大好きな)スウィングする8ビート&GregPeterSteveが順々にリードVoをとるナイスなハードロック。他の曲もホットな出来ですが、ラストの「I Don’t Need No Doctor」はSteveの熱唱も映える強力なロックソング(後年ソロライヴでもSteveはよくこれを取り上げた)。
 2013年にはROCKIN’ THE FILLMORE: THE COMPLETE RECORDINGSという、このアルバムの源となった全録音がCD4枚組で発表されました。びっくり。ベストテイクを選んでオリジナル(71年版)は作られていた……ことはわかりますが、その他のテイクも悪くないです。
 
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4VARIOUS ARTISTSONE MORE TIME FOR THE OL’ TOSSER: Steve Marriott Memorial Concert/London Astoria 20012005
 いろんなアーティストが参加した3枚組CD2枚目の後半に先ほど申し上げたラインナップによるHumble Pieが登場、「Four Day Creep」「Natural Born Bugie」「Hallelujah I Love Her So」「Shine On」「I Don’t Need No Doctor」を披露。70年代ハードロックファン向けには「最高」です。Jerryさんのビートは健在だし、Gregさんの太いヴォーカルは力強いし、二人の名ギタリストPeter & Clemは相手を立てながら職人芸を繰り出してるしね。あくまでスティーヴへの追悼のために集まった「バンド」ですが、お見事でした。【全編完】
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