【前編】
＜思い出話＞
The Beatlesが好きでした（や、今でも好きですがね）。ビートルズのことを書いた本もよく読んだものでしたが、その中のひとつに「リンゴ・スターは人柄がよくて友達も多いから、ビートルズ解散後オール・スター・バンドなどというものもできたのである」ということが書いてありました。「オール・スター・バンド？一体それは……」と気にはなりましたが、20年以上前のことで、音源・情報ともなかなかそれ以上は得られなかったのでありました。
そんな時、偶々通りかかった（今は無き）Virgin Megastores Japanのある店舗で、『RINGO STARR and HIS FOURTH ALL-STARR BAND』というVHSを見かけたのでした。箱を見ると、参加メンバーが書いてあって、Ringoの他は“Peter Frampton・Jack Bruce・Gary Brooker・Simon Kirke・Mark Rivera”と。当時のわたくし、知識が偏っておりまして、「Jack BruceってCreamの人だっけ。あ、Mark Riveraは後期Billy Joelバンドのサックスの人だ」くらいの認識しかなかったのですが、折角なので購入して帰りました。
あらためて映像を観ていくと、Ringoがビートルズ・ナンバーやソロ曲を披露するのはもちろん、Riveraを除く各メンバーがそれぞれ数曲ずつ「持ち曲」を演るのが楽しめたのですが……“「All Right Now」を歌って叩いてるから、Simon KirkeはFreeの人だったんだ”であるとか、“Gary Brookerって人は、「青い影A Whiter Shade of Pale」歌ってた人か”などと、今思えばわりと間抜けな感想を抱いたものでした。ま、おかげでFree・Bad Company・Procol Harumを深掘りしていくことになったのですけれども。
ところが、Ringoのステージでギターを弾いている「眼鏡のおじさん（髪の毛少ない）」が何者なのかわかっていなかったわたくし。Peter Framptonって書いてあるのにねえ、当時は全然知らなかったんですよ。これが後追いで洋楽を聴くときの怖いところ。ただ、映像のなかのPeterおじさんは、とにかくニコニコしてて楽しそう。Ringoって人も明るいおじさんですが――ちなみに、Jackはちょっと気難しそう、Garyは渋いジェントルマン、Simonは屈強なTシャツ男（？）、Markはナイスなアメリカン（人を見た目で判断、あくまで第一印象だけですが）――、Peterはいちばんステージを明るくしてたように思いますな。ギタリストという立場上、出番が多いせいもあると思いますが。
自分の曲「Baby, I Love Your Way」、「Show Me The Way」・「Do You Feel Like We Do」はもちろん、Creamの「Sunshine of Your Love」や「White Room」、Bad Companyの「Shooting Star」やFreeの「All Right Now」、Procol Harumの「The Devil Came from Kansas」、アコギ一本でカヴァーするThe Beatlesの「Norwegian Wood」、リンゴの持ち曲「Boys」「No No Song」……などなど、本当に楽しそうに演奏してるんですよね。ちょっとコミカルな動きを見せたりしながら、客を煽って最高に盛り上げていますしね。そして特に、ハードロック調の曲では気合いの入ったギターソロやベースとの掛け合いを見せてくれてるんで、ハードロック野郎であったわたくしにはヒット！したのでした。
とまあ、回り道をして、Peter Framptonさんへの関心がわいたとこういう次第。この映像の中では、氏のオリジナル曲の中で使われる「マイクの横の変な管」が摩訶不思議に思えたものですわ。歌うんじゃなくてギターソロの時にその管をくわえる。そんでギターを弾くと、ギターの音がワウのかかったような変わった音になる、と。有名どころでは、Bon Joviの「Living On A Prayer」のリフのとこで使われてるやつです。……当時は「トーキング・モジュレーター（talk box）」なんて知りませんでしたので、「ほえー」と思っただけでしたが、後で調べてみるとPeter Framptonはコレの使い手として有名だったようですね。（一説によるとBon JoviのRichie Samboraのtalk boxはPeter Framptonが組み上げたものだったとも言いますが……。）さあ、いよいよどういう人なのか？遡ってみたくなるのです。（Peter物語は後編へ続く）
