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第13回「Lord Sutch & Heavy Friends」(2)

<作品紹介>(続き)

5曲目はLittle Richardで有名なロックンロール。超速ギターソロ、サックスソロ、ピアノソロ、トロンボーンソロ(!)、ドラムソロが繰り出されるムチャなヴァージョン。Sutchは、全然目立たないのだが。


そこから今度はJerry Lee Lewisの必殺曲へ。よく聴いていくと、バッキングのときのギターはほぼすべての曲で同じだ。似たようなロックンロールだということもあるでしょうが、「バッキングはやる気ない」Ritchie様の本領発揮だと思うと納得。ギターソロはちゃんとブッ飛ばしてるのでご安心。本作が疑似ライヴだっていうのは、この曲のギターソロパートに「火の燃える音」「消防車の音」のようなモンがかぶされているからですわ。


お次はChuck Berryのメドレー。割と歌のパートが多いので、Sutchの歌唱力(ヘタウマ……や、やっぱりへた)がわかってしまうが、もはやそんなことなど気にならんほどバックが熱い。Ritchie、やりたい放題!一方、曲を成立させているのはピアノのFisherですかな。全編しっかり弾き通しております。


最後がもうムチャクチャなリトル・リチャード曲のメドレー。「Tutti Frutti」から「Long Tall Sally」につながり、「Jenny Jenny」を短くやってからKeith Moonのドラムソロ(これはSutchが「Oh, Keith Moon!」と叫んでいるので間違いないでしょう)へ。ソロ明けとともに今度は「Keep A Knockin’」になだれ込み、そこからピアノソロへ。で、また「Jenny Jenny」に戻って、サックス・ソロ、最後にまた「Tutti Frutti」、という流れ。


終わってみればほとんどが古典的ロックンロールのカヴァーなのですが、Sutchがあまり音楽的でないのと、演奏陣にやりたい放題やらせているのとで、まるで別物に仕上がっておりました。「Hands of Jack the Ripper」なんていう、ちょっと他じゃ聴けない珍品もあることですし、トライしてみては如何でしょうか。


なお、Lord Sutchはあまりミュージシャンとして高く評価されてるわけではないのですが、わたくしはどうにもこのおじさんが気になりまして、他にROCK AND HORRORなるアルバムも持っていたりします。
 
<思い出話>
 はて、どうしてこんな妙なお方のことを知ったのでしたかなあ。たぶんRitchie BlackmoreJimmy Pageのバイオグラフィを読んでいて名前が出てきていたことと、ブリティッシュロックのディスクガイドに紹介があったことがきっかけではなかったかな。半信半疑で買ってみたら結構よくて、オールドロック好きの友達にも勧めたら「ヘヴィ・フレンズって……最高だよ(笑)」と喜んでもらえたように記憶します。
 
<今回取り上げた作品>
1Lord Sutch & Heavy FriendsLORD SUTCH & HEAVY FRIENDS1970
 プロデュースにLord Sutchと共にJimmy Pageの名前があります。楽曲の多くは両者の共作となっていますが……(本作の微妙な経緯は前述)。2曲目の「’Cause I Love You」なんかは結構出来のよいハードロックかと思いますが。
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*左上:N.ReddingとSutch。左下:J.PageとSutch。右上:J.BeckとSutch。右下:N.HopkinsとSutch。

2Lord Sutch & Heavy FriendsHANDS OF JACK THE RIPPER1972
 プロデュースはSutchVic Maileとなっています。MaileFleetwood Mac,Eric Clapton,Hawkwind,Motörhead,Girlschool,Dr.Feelgood他多数を手掛けた名プロデューサーですが、本作は彼の手掛けた最初期の作品となりますね。
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*左:「婦人をつけ狙う切り裂きジャックの図」。中:N.ReddingとSutch、Keith MoonとSutch(最強奇人タッグ!かな)。右:Lord Sutch御大。

3Screaming Lord SutchROCK AND HORROR1982
 「Rock side」と「Horror side」に分かれているのですが、不思議なことに、前者に「Jack the Ripper」「Screem & Screem」「Murder in the Graveyard」といった「ホラー系」ソングが、後者に「London Rocker」「Rockabilly Madman」「Go-Berry-Go」といった「ロック(ンロール)系」ソングがまとめられているのですね。Sutchの声が変わっているので、多分80年代の録音だと思います。バックのメンバーは手堅い巧手揃いのようです(Matthew Fisherは何曲かで参加していますし、Rory GallagherのバックをつとめたRod De’Athも数曲叩いています)けれど、HANDS OF~』のような熱狂・狂乱はありませんでした……