<楽曲紹介(続完)>
『BANG!』(1982)
『LIVE』の後も、プログレ風味の強い『PLASTIC PEOPLE』(1975)やジャズロックに近づいた『BACKDOOR POSSIBILITIES』(1976)など、楽しめる作品を数々送り出しているBirth Controlですが、オリジナル期最後の作品『BANG!』もまた名作だと思います。『HOODOO MAN』の次にわたくしならこれを推薦します。キャッチ―だが一筋縄でいかないハード・ロック。珍しく(彼らにしては)ギターリフがリードするアタマの「Nuclear Reactor」、リズムセクションと歌が噛み合った「Get Ready To Run」、従来テイストの集大成「Greedy Eyes」あたりが特に印象に残ります。後の発掘ライヴ盤でこの時期のコンサートの様子を聴きましたが、このアルバムからの曲はかなり演奏されていました。当時も自信作だったのでしょう。Bruno Frenzelが間もなく亡くなってしまったことが残念です。
<思い出話>
買って持っていたあるディスクガイド(シンコー・ミュージックMook『ヘヴィメタル/ハードロックCDガイド』)に、『HOODOO MAN』が紹介されていたのがこのバンドを知ったきっかけだったと思います。当時わたくしは、ドイツのロックなんてScorpions以降しか知りませんでしたから、おっかなびっくり手を出したというのが正直なところ。『HOODOO MAN』はジャケットもちょっと妙ですしね。しかし、これは大当たりでした。プログレというにはハード・ロック風、ハード・ロックというにはプログレ風、ドイツのバンドだがクラウト・ロックというよりブリティッシュ・ロックっぽい……こういうのは人によっては半端に感じられることもあるのかもわかりませんが、わたくしの趣味には完璧に合致したわけでして。あんまりハマりすぎて、『HISTORY』というバンドの映像集DVDも買ってしまったくらいです、再生方式が違うので日本のDVDプレイヤーでは観られないのに。(パソコンで観ました。)わたくしの偏愛はさておき、皆さんにもぜひ楽しんでもらいたい、それだけの価値あるグループだと思います。
<今回取り上げた作品>
(1)『BIRTH CONTROL』(1970)
(2)『OPERATION』(1971)
(3)『HOODOO MAN』(1972)
(4)『REBIRTH』(1974)
(5)『LIVE』(1974)
(6)『BANG!』(1982)
(7)『35th ANNIVERSARY LIVE AT ROCKPALAST』(2005)
再結成期のライヴ。ベテランNoskeを若手がサポート。新しい曲(溌剌とした冒頭の「Rock The Road」など)も良いが、2ndに収録の「What’s Your Name」の小気味よさ、『PLASTIC PEOPLE』に収録の「Trial Trip」のめまぐるしいプログレ的展開、そして不滅の「Gamma Ray」(やはり19分以上ある!)と、過去の名曲をその魅力と共に甦らせてくれているのが嬉しい。さかのぼって、あるいはあらためて旧作を聴いてみようという気にさせてくれました。
(8)『TWO EGGS:TWO CONCERTS』(2013)
1977年のライヴと1983年のライヴが聴ける発掘編集盤。『BACKDOOR POSSIBILITIES』時期の貴重なライヴが聴ける1枚目も良いが、『BANG!』期のステージがまとめて聴ける2枚目が本当にありがたい。タイトないい演奏。
(9)『HISTORY』(2005)
DVD。数々の曲の演奏場面が観られるほか、60年代末から70年代頭のあたりのあやしいクラブ風景も記録されていておもしろい。ただ繰り返しになりますが、通常の国内プレイヤーでは観られません(泣)。
いかがでしたでしょうか。では今回はこの辺で。