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Celtic Frost「Into the Crypts of Rays」(『MORBID TALES』1984)
メタル愛聴歴はそれなりに長い当方ですが、スラッシュ・メタルの熱心なファンではありませんでした。有名どころ(四天王)をいくつかと、TestamentとWatchtowerとMekong Delta、くらいにしか興味がなかったというのが正直なところ。
最近になって、Burrn!叢書の『スラッシュ・メタルの真実』『スラッシュ・メタルの誕生』を続けて読み、当該ジャンルの意外な面白さ――取り組んでる面々の“メタルバカ”な熱さも――に気づいてちょっとずつ手を出すようになった次第。さらにアメリカン・スラッシュだけに飽き足らず『ユーロ・スラッシュ・メタルの源流』『同2』も読むに至るわけです。(こうしてみると私は活字をかなり情報源にしておるね。奥野さんに毒されてることになるなあ……。氏の古典的HR/プログレへの造詣の深さには好感と敬意を覚えますけれども。)
Celtic Frostという名前はもちろん昔から耳にして(目にして?)いたわけですが、音を聴いたこともなかったし、はっきり言えば興味もなかった。前述の書籍で当事者の言を知って、はじめて探してみることになりました。
アルバムごとにやっている音楽性が変わる、といわれているので、どこから聴けばよいのか迷いましたが、「そういう時は初期作品から」というわけで、『MORBID TALES』をゲット。おそるおそる再生すると……
うわ、なんだこれ! 「Human (Intro)」が無茶苦茶怖え!コラージュ音源なんだと思うんですが、ヒトの声(断末魔の叫び的な)が延々繰り返される恐怖劇場。暗がりで聴きたくねえな。40秒間そのホラーに耐えると始まるのが、今回の「Into the Crypts of Rays」。途中にダークでドゥーミーなパートを挟みますが、基本的には突進型リフ・ロック。こりゃ確かにスラッシュ・メタルとブラック・メタルの始祖の一つといえますな。
ドタバタしてるドラム、技巧的とは言えぬ弦楽器と歌。私の乏しい語彙でいえば、“Venomっぽい感じ”なんですが、あっちが“ジョークをジョークとしてやる”ようなところがあるのに対し、Celtic Frostはどこか“しゃれにならん感じ”を醸し出してる気が。イントロの「Human」が怖すぎるせいかもしれんけど。
みなさまにお勧め!とは言いませんが、「怖いもの見たさ」がご自分のなかにある人は一度どうぞ(!?)。