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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳217

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Pentagram「All Your Sins」(『RELENTLESS』1985)

 たまには“禍々しい”音も聴こう。

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 ドゥーム・メタルの良さは、70年代の「音」を(80年代メインストリームをすっ飛ばして)現代に再現している点にあると思っております。たとえばCathedralは、私から見ると“学究肌”のLee DorianとGarry Jennings――70年代のマニアックなハード・ロックに詳し過ぎる……――の趣味と実益の産物として、味わい深い作品をいろいろ送り出してくれました。

 

 かつてその彼らがカヴァーした楽曲「All Your Sins」のオリジナルが、こちらになります。1985年のデビュー・アルバム(当初は『PENTAGRAM』という名称だったそうですが、1993年のリイシュー以来『RELENTLESS』に改称)に収録。Bobby Liebling(Vo)+Victor Griffin(Gt)+Martin Swaney(Ba)+Joe Hasselvander(Dr)というラインナップ。

 呪術的なリフとビートに、狂気を含んだ(ように感じさせる)歌“♪You can never win, pay for all your sins……”が乗っかる。ただし――これはこの類型の祖であるBlack Sabbathなんかもそうですが――意外にグルーヴィーなところがポイント。敢えてこの曲をクラブとかで掛けるDJとか居てもいいのよ。

 

 まあそれはジョークとしても、この人たちの70年代感は半端ない……と思ったら、そもそもこのバンドは1971年には活動開始していたという古参ハードロッカーなのでありました。(その頃の音源は『FIRST DAZE HERE』『FIRST DAZE HERE TOO』などのコンピで聴けます。これらもお薦め。)もっとも、ヴォーカルのボビー以外は草創期からメンバーがガラッと変わっています。メンバーチェンジやバンド名の度重なる変更なんかもあって、ファーストアルバムが1985年になってますが、本来はブラック・サバスの同時代人なんですね。なんか、70年代ロッカーが苦労の末80年代になってアルバムを出す……というところはTwisted Sisterみたいでもありますな。どちらも素晴らしいバンドである。

 

 ついでに。カテドラルによるカヴァー・ヴァージョンは、さらにスピードを落として不気味に。リー・ドリアンの声は本家ボビーほど“ナチュラルに狂気含み(オジー系)”ではないのですが、この演出のお陰で恐ろし気に仕上がっています。機会があればそちらもどうぞ。

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