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どんぱす今日の御膳215

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Samson「Kingsway Jam」(『HEAD ON』1980)

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 前回アイアン・メイデンの話が出てきましたので、ちょっとネタ的に。私は以前このブログでも書きましたが初代のヴォーカルPaul Di’Annoがどうにも憎めなくて好きなんですが、やはり力量の点ではBruce Dickensonは素晴らしいと思っています。2004年にはステージも観て、「あ、これは生半可なシンガーじゃ太刀打ちできないや」と悟りました。

 

 で、その彼がメイデン以前にSamsonというバンドに居たことはよく知られていますよね。NWOBHMの一角を占めた名バンドといっていいんだと思いますが、彼らのアルバム『HEAD ON』はなかなか楽しい。意外とカラッとしたところもある楽曲、オーソドックスだが気の利いたPaul Samsonのギター、覆面レスラー、じゃなかった覆面ドラマーThunderstickの手数多めドラミング(高音の方のタムをよく使うし)、そして説得力のあるBruceのヴォーカル。まず一枚、というならこれでよいと思います――ジャケットもわかりやすいから。(覆面男が吠えてるアブナい表紙よ。)

 で、アルバム本編が十分よいのですが、私がここでご紹介いたしますのは、再発盤CDに収録されたボーナストラックです。「Kingsway Jam」とありますが、たぶんちゃんとしたタイトルとしてつけられたというわけではない。10分弱あるスタジオ・ジャム――展開も探りさぐりだし、歌詞も明確なものがあるわけではない。ブルースも適当に即興で歌ってるようですしね。彼らがレコーディングしてたスタジオがロンドンのKingsway Studioだからこの名前になったんでしょう。キングズウェイ・スタジオはIan Gillanと関わりが深いところで、Ian Gillan Band/Gillanとも縁深く、ついでにいうとGillanのギタリストJanick Gersは後にIron Maidenにも加入しますね。

 

 「Kingsway Jam」は、楽曲としては未完成ですし、正直ダレるところも多い。それでも、若くやる気に溢れたメタル連中が、スタジオでどうやって音を出していたのか、その制作現場の裏側をちょっと覗けたような気がして楽しいのですね。Bruce Dickensonはこのころから凄かったと判るし。そういうわけで、変わり種ではありますがご紹介しました。