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どんぱす今日の御膳194

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From The JamBruce Foxton & Russell Hastings)「Down In The Tube Station At Midnight」(『FROM THE JAM: LIVE!』2017)

 当ブログが最初にとり上げたアーティストがThe Jamでしたが、その偉大なるバンドへの半セルフ・カヴァー・バンドのライヴ作品。探しに探してようやく見つけました。

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 「半・セルフ・カヴァー」というのは、Paul Wellerこそ居ませんが、バンドのオリジナルメンバーが含まれているから。From The Jam名義で活動し始めた当初にはBruce Foxton(Ba)とRick Buckler(Dr)が参画していました。この2017年作品の頃にはRickは退き、「オリジナル・ジャム」はブルースのみ……なんですが、ポール・ウェラー役(Vo, Gt)のRussell Hastings氏が予想以上にいい仕事してます。

 

 声質がポールっぽいだけじゃなく、歌いまわしからギターのプレイまで実に丁寧にThe Jamの味を甦らせているのです。Alvin Leeが脱けた後のTen Years Afterを若返らせたJoe Gooch(Gt, Vo)氏や、Keith Relf亡き後のThe Yardbirds再興のカギとなったJohn Idan(Vo, Gt)氏と並ぶ、名バンド復興逸材ではないかと。ブルース・フォクストン先生との縁は長いようで、Bruce Foxton『BACK IN THE ROOM』(2012)――これもいずれきちんと紹介したいなかなかの好作品!――にも参加しています。

 

 さて、『FROM THE JAM: LIVE!』は、Bruce+Russellに、Mike Randon(Dr)とAndrew Fairclough(Key)を加えたバンドによる、ザ・ジャム・カヴァー大会。ベテランの回顧イベントだろと侮ること勿れ!「In The City」の爆走から「This Is The Modern World」に突入する“初期ジャムファン”(小生)感涙の展開。ブルースのベースってこんなにバッキバキいってたっけ?

 

 ベース、といえば今回挙げた「Down In The Tube Station At Midnight」ですよね。オリジナルはもちろん名曲、焦燥感を音で表現した様な弦楽器に細かいドラミング、クールでいながら爆発的に熱くなるヴォーカル……それを丁寧に再演しております。ポール・ウェラー氏は自分のソロではジャム初期はまずやりませんから、この曲を含むアタマ3連発がライヴで聴けるというのがもう貴重。

 

 アルバムではその後「The Butterfly Collector」に入り(クールなチョイス!)、次いで、待ってましたブルース作の持ち曲「Smithers-Jones」に。1990年代にStiff Little Fingersに居たブルースは同バンドのライヴでもこの曲をやっていましたね。たった3分間にメッセージとドラマを共に盛り込んだ名曲。“♪Sorry, Smithers Jones……”

 

 その後も「That’s Entertainment」のホットなカヴァー、躍動する「Start!」、あらためて聴くとよいなあ「Saturdays Kids」と来て、ヤマ場に登場するのが「David Watts」。The Kinksのオリジナルも勿論良いのですが、この曲を70年代末に蘇らせたThe Jamはセンスがよい!2010年代に再演するBruce&Russel(両者のヴォーカルの重ね方もBruce&Paulの妙を思い出させます)も偉い!というわけでこれも一聴の価値有り。

 

 最後は怒涛の「Going Underground」「Town Called Malice」「The Eton Rifles」で締め。お腹いっぱい。もちろん、もっとたくさんいい曲はある――ブルース作曲のものだけでも、アグレッシヴな「News Of The World」とか、最初期の「Carnaby Street」とかまだあるよね――のですが、それはまたの機会に、ということなんでしょうかね。

 

 元気なBruce Foxtonと逸材Russell Hastingsに会える好ライヴでした。

※☟こちらは初期のラインナップによる映像。ドラムがRick Bucklerさんです。

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