DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳193

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Billy Joel「Shout」(『LIVE AT YANKEE STADIUM』1990)

youtu.be

 ちゃんと曲の話もしよう。「Shout」は本映像作品中唯一ビリーの曲ではありません。The Isley Brothersアイズレー・ブラザーズ)のカヴァーなんですが、このパフォーマンスも良い良い。即興的なコール&レスポンスでスタジアム中の(数万の)聴衆と掛け合いをしたあと、すかさずバンド一丸となってこの古典的ロックンロール(R&Bといったほうがよい?)をアップテンポで披露するという流れがまずいいね。コーラスが重要な曲ですが、クリスタル・タリフェロやマーク・リヴェラを含む重厚な布陣で隙も無し。

 

 で、途中ワンコーラスくらい“ビリーじゃない誰か”がリードをとる箇所があるのです。私CDの類でこのテイクの「音だけ」聴いたことがあって、「誰だろう、マーク・リヴェラかな?」などと思っていたのですが、映像を観て吃驚・・・・・・

 

 ビリーがマイクスタンドにマイクロフォンを挿してドラムセットの方に向け、リバティに歌わせてるではないですか!あれは、リバティだったのか!?

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 叩きながら歌ってるがなかなかうまい……というか、このオールディーズ・ナンバーはビリーやリバティのような初期ロックンロール大好きっ子にとっては“寝てても歌える”(わけはさすがにないか)ようなオハコだったと思われます。世間広しといえども、「歌うリバティ・デヴィート」が観られるのは、“かつてのドラマー”ジョン・スモールが監督したこの作品だけ!いやあ、盛り上がるネタに事欠かないなあ。

 

 最後に。このBS放映ヴァージョンだけなのかもしれませんが、MC部分の対訳字幕が出ます。落合さんという方によるものだそうですが、これも親切でありがたい。洋楽のステージを観て聴いて英語力をつける、というのも良いですが、細かいところはプロのフォローがあると安心ね。ちなみに、ビリーがステージを締めくくるときのキメ台詞“Don't take any shit from anybody!”は、多くの訳者を悩ませてきた名文句(?)――直訳じゃ意味が分からない――ですが、この字幕では「楽しむのが一番だ!」としてました。なるほどね……

 

 というわけで、2022年度の最初はビリー・ジョエルで景気よく始めましたぞ。