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ラーズ(メタリカ)が“RIOT Fire Down Under”のTシャツ着て御父上(92)と写真に納まってるのが超クール。

【臨時】わが掌中のデスメタルーーChildren Of Bodom

 2021年初めに「Alexi Laiho死去」の報に接したときは衝撃を受けました。Children Of Bodomの熱心なファンとは言えない私ですが、アレキシのような同世代人の急逝にまず驚きましたし、考えてみれば初めて「デスメタル」を教えてくれたのも彼等だったなあ、と……。

 その恩義に報いるために一筆したためさせていただきました。

 

Children of Bodom『FOLLOW THE REAPER』(2000)

  1. Follow The Reaper
  2. Bodom After Midnight
  3. Children Of Decadence
  4. Everytime I Die
  5. Mask Of Sanity
  6. Taste Of My Scythe
  7. Hate Me!
  8. Northern Comfort
  9. Kissing The Shadows
  10. Shot In The Dark
  11. Hellion

<メンバー>

 Alexi Laiho(Vo, Gt)

 Jaska Raatikainen(Dr)

 Henkka Blacksmith(Ba)

 Janne Wirman(Key)

 Alexander Kuoppala(Gt)

 

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 特にこのサード・アルバムは宝でした。今でも覚えているその出会い方がすばらしい(?)。2000年当時、地元の新星堂でCDを見ていたら、これ(『FOLLOW THE REAPER』)とJohn Wetton『WELCOME TO HEAVEN』(2000)が何故か目に留まったのでありました。完全にジャケのインパクトのみで。というのも当時、私はどちらのアーティストも全く知らなかったのですよ。アルバム1枚、どちらかを買う分しかお金は持っていませんから、「どうしよう?」と迷うわけです。しばらく唸ってから、オビに「ヘヴィ・メタル」とある方を選ぶことにした、と。(ちなみに、私がJohn Wettonの作品収集に走るようになったのは、2001年2月渋谷AXにおけるRX公演にサプライズゲストでウェットン先生が登場したのを目撃してしまってから以降のこととなるのであった。)

 

 いまそのCOB作品のオビを細かく見直すとこう書いてある。“フィンランド出身、アレキシ・ライホ、ヤンネ・ウィルマン在籍、テクニカル様式美ブラック・メタル・バンド、チルドレン・オブ・ボドム待望のサード・アルバム登場!”

 

 当時の私はすごいよ。はっきりと「ブラック・メタル・バンド」って書いてあるのに、意味が分かってなくて‟「テクニカル様式美」だからレインボーの凄い奴かな”くらいにしか思ってなかったんだから。

 

 買って帰ってCDプレイヤーに入れ、再生する。すると、なんかぶつぶつ言っているナレーションみたいなのが聴こえて(ホラー映画の一節らしいですが)、「アレ?始まらないの?」と思って音量を上げてスピーカーに近付いたら、いきなり“♪ジャン!”とデカイ音〔オーケストレーション・ヒット〕からの疾走メタルが始まって魂消る。前奏が済んで0分40秒辺りで歌が入ってようやく“んん?この押しつぶした声の歌唱は?も、もしかしてデスメタルってやつですか?”と気付く、と。

 

 デスメタルって言葉は知ってましたが、実際に聴くのはこれが初。「こういうのを買おうと思ったんじゃなかったのに……」と若干後悔した……のははじめのうちだけで、流して聴き進めるうちに、美旋律と獰猛な歌唱の対比とか、弦楽器と鍵盤のバトル――Deep Purple好きだったんで、そういうのは超ウェルカムだった――とか、「いいじゃないの!」と。

 

 デスメタルっていうのはなんかこう、邪悪な、聴くと堕落させられそうな音楽だと〔我ながらすごい浅はかな理解〕思っていたがそうでもないなと。(ただ、彼らって「ブラック・メタル」なんすかね?それはいまも疑問。トイズ・ファクトリーの方々に認識を問いたい!)

 

 面白がって何度も聴いているうちに、私よりも弟がハマってしまいまして、彼がアルバムを集め出したのでしたな。ファーストから『HATECREW DEATHROLL』『ARE YOU DEAD YET?』辺りまではマメにチェックしていたようです。(シングル『YOU’RE BETTER OFF DEAD』『TRASHED, LOST &STRUNGOUT』も含む。)

 

 我らの間では、「この人らのカヴァーのセンスがなかなか面白い」ってのはよく話題にしてました。Ramonesの「Somebody Put Something In My Drink」は効果音“♪ポチャ”が可愛らしくてうけるし、Slayer「Silent Scream」のムチャな鍵盤ソロは笑えるし(称賛しているのですよ)。

 

 これに手を出した頃は雑誌BURRN!もまめに買っていたので、彼らの記事はよく目にしました。真面目なはなしもあれば、アレキシが酔って自動車の上から転げ落ちて怪我したとかそういう“Wild Child”ネタもいっぱいあったなあ。Kimberly Goss(Vo)とのめおと(当時)バンドSinergyとかでも頑張ってた。

 

 DVD『CHAOS RIDDEN YEARS:Stockholm Knockout Live』(2006)も買いましたね。ディスクユニオンかどっかで買ったら、特典にマグカップかなんか付いてきたんじゃなかったかな。映像本体が熱いライヴなのは期待通りとして、なぜかステージが佳境に入ったところで(ステージ演出用の?)ファイアを用いてソーセージを焼いて食い始めるアレキシとヤンネ……なんだそりゃ?の微笑ましさ。いや、やはりいろいろ印象に残ってますな。

 

 さて、肝心の作品ですが、やはりこのサードが一番好き。オーケストレーション・ヒットをこんなにガンガンぶち込んだ作品は、ダミアン浜田『照魔鏡』以来だから……ってのは冗談で、私のようなエクストリーム・メタル初心者に優しいわかりやすさがあるからですね。正統的な(ちゃんと弾ける人の)プレイが満喫できるギターとキーボードはもちろん、テンポチェンジ支え楽曲を盛り立ててている変幻自在のドラミングがイイ。1曲目の「Follow The Reaper」はいまだに愛聴曲です。

 

 潔く終わった後、今度は突進力いのちの「Bodom After Midnight」につなぐところもナイス。要所要所で耳に残るフレーズを入れるギターセクションが嬉しいね。アレキシのセンスは、速弾きだけじゃなくてこういう細部にも発揮されている。鍵盤ソロ後半からドラムの盛り上げを受けて高速ギターになだれ込む2分40秒~3分10秒あたりは完璧。

 

 本作中最長の(とはいえ5分30秒程)「Children Of Decadence」も、やや重厚に始まりつつも本編はアグレッシヴに疾走。この曲も耳に残る印象的フレーズが雨あられ。エクストリームでありながらキャッチーでもあるという、得難い両立を果たしております。「Everytime I Die」は、彼らにしてはグッとテンポを抑えたヘヴィ・ナンバー。

 

 私が1曲目に次いで好きなのが5曲目の「Mask Of Sanity」。透明感ある冷え冷えした鍵盤フレーズに熱いギターとドラムが重なってくる幕開けにゾクゾク。加速に加速を重ねるドラムに煽られ、ヴォーカルも力が入る。間奏部分でで一旦クールダウンするかに見せて、爆発力あるソロパートに突入。ギター→キーボード⇒両者のツインという絡み方も最高です。「Taste Of My Scythe」は、今回この記事を書くために聴きなおすまでちょっと印象が弱かったのですが、高速の3連フレーズなどなかなか美味しい所あり。

 

 不穏なコードの鍵盤が導く「Hate Me!」は、代表的楽曲の一つかも。 “I don’t give a f**k, if you hate me!”のところなんか、パンキッシュな歌詞に反してなんか不思議とポップなくらい。ソロも良いけど、この曲なんかはバッキングのフレーズの働き(ギター)が大きい。次の「Northern Comfort」は、彼ららしいコンパクトな疾走曲。ラストの「Kissing The Shadows」は、ドラム(ヤスカ)の頑張り――バスドラム踏み倒し――が素敵なナンバー。鍵盤→ギター→鍵盤→ギター⇒ツインのソロ大会も“やりすぎ感”がたまらない。

 

 日本盤はこのあとにボーナスで「Shot In The Dark」(Ozzy Osbourneのカヴァー)と「Hellion」(W.A.S.P.のカヴァー)が入ってました。

 

 故アレキシ・ライホと仲間達のお陰で、私のデスメタルに対する偏見は取り除かれましたし、その後若干数とはいえデス系作品にも手を伸ばすことになりました〔いずれその辺についても報告したいね……〕。

 

 まさに『FOLLOW THE REAPER』は大恩ある一枚(?)。私のようなヤツでも楽しめたわけですから、もっと柔軟な方々ならば「デスメタルなんぞ知らん」というひとでも気に入るであろう。万民にお薦め……という言い方がよいのかわかりませんが、後世に語り継ぎたい作品です。

 Alexi、有難う。