ドラマー兼シンガーBobby Harrisonの仕事をざっと見ていこうと思います。この人、やってることはなかなか頑固なんですが、英国ロック史を彩るいろんな面々と関わってて、送り出してきた作品はなかなか面白い。
【ちなみに、英国ロック界における人脈・人間関係をくわしく知ることができる「60s/70s英国ロック・データベース」という素晴らしいサイト(日本語)がありまして、今回Bobby Harrison・Freedom・Snafu・Nobody’s Businessについて調べるのにもたいへんお世話になりました。ありがとうございました。】
さて、ボビー・ハリソンをご存知の方もそうでない方も、まずはもちろんソロ作のこれをどうぞ。
Bobby Harrison『FUNKIST』(1975)
- Cleopatra Jones
- Whiskey Head
- Thinkin’ ‘bout You
- King Of The Night
- Little Linda Lovejoy
- Spotlight
- Long Gone
- Looking For A Friend
<メンバー>
Bobby Harrison(Vo, Dr)
+
Micky Moody(Gt)
Tony Iommi(Gt)
Henry McCullough(Gt)
Chris Stewart(Ba)
Herbie Flowers(Ba)
Walt Monaghan(Ba)
Clem Cattini(Dr)
Ian Paice(Dr)
Matthew Fisher(Key)
Bob Sargeant(Key)
Ray Owen(Vo)
この“でっかいオレンジどーん!”のジャケット写真は、柑橘類で有名な(?)「SUNKIST」のパロディ……なんじゃないですかね?誰もちゃんと説明してくんないけど。
それはともかく、ボビーさんって人は、70年代闘士たちの中では割と早くからブラック・ミュージックへの憧憬を露わにしてきた人物だと思うんですよね。もちろん他にもいろんなバンドはありますよ?あと、個人でいえばGlenn Hughes先生とか“ソウル!ファンク!”推しの名プレイヤーもいますしね。でも、(今日における知名度こそさほどではないですが)ボビー・ハリソンの「ファンキスト」振りは筋金入りではないか、と。このたびまとめて作品を聴きなおして、なおさらそう思いました。
それにしてもこの参加メンツ、凄くないですか。元Juicy Lucyで、この後ボビーとSnafuを結成するミッキー・ムーディーさんは、後にWhitesnakeで大成功。Wings(Paul McCartneyの)で活躍したHenry McCulloughや、あんまり課外活動の多くないTony Iommi(言わずと知れたBlack Sabbathのマスターマインド)も引っ張り込んでて、ギターセクションは大御馳走。
ベースでは、Spooky Tooth他多数に参加しGraham Bonnet『LINE UP』(1981)でもプレイするChris Stewartがいるかと思えば、英国ジャズ・ブルーズ・ロック界で引っ張りだこだったHerbie Flowersもいらっしゃる。お、むかしFreedomで一緒だった仲間Walt Monaghanもいたのか。
ドラムはすべて自分でプレイ……かと思いきや、Johnny Kidd & The Pirates他でプレイの名セッションマンClem Cattiniと、これまた言わずと知れたスターIan Paice(当時も今もDeep Purple)を招聘。(自分でも叩いてるとは思うが。)
Matthew Fisherはアルバムのプロデュースにも参画した、Procol Harum時代からの盟友。Bob SargeantはMick Abrahams(この人も頑固一徹なブリティッシュ・ブルーズロッカー)ともプレイした職人。おまけに、Juicy Lucyでリード・ヴォーカルもつとめたRay Owenがヴォーカルで参加、と。
集めようと思ってもなかなか集まらん(実は)豪華なラインナップ。で、そこから出てくる音がちゃんとボビー色だってことも大したものだ。……いや、ゲストのプレイが地味、ってことじゃないよ?(どの曲で誰がプレイしているかはクレジットがないんだけど……)
<続く>