Automatic Man関連枠最終回。(作品は前回の続き。)
Various Artists『THE DUTCH WOODSTOCK』(2013)DVD+Audio CD
【DVD曲目】
- Santana「Gumbo」
- Al Stewart「Zero She Flies」
- Canned Heat「Human Condition/ The World's In A Tango/ So Sad」
- Quintessence「Giants」
- Jefferson Airplane「Won't You Try/ Saturday Afternoon」
- It's A Beautiful Day「Wasted Union Blues」
- Pink Floyd「Set The Controls For The Heart Of The Sun」
- Country Joe And The Fish「Oh Freedom」
- Dr. John and the Night Trippers「Mardi Gras Day」
- Family「Drowned In Wine」
- It's A Beautiful Day「Bulgaria」
- T. Rex「By The Light Of The Magical Moon」
- The Byrds「Old Blue」
- The Flock「Big Bird」
- Soft Machine「Esther's Nose Job」
- Jefferson Airplane「White Rabbit/The Ballad Of You And Me And Pooniel」
- Santana「Savor / Jingo」
- Pink Floyd「A Saucerful Of Secrets」
さて、他にも見どころはいっぱいあるよ。
私としてはまずCanned Heatに触れぬわけにいかん。当ブログでもだいぶ昔に熱烈紹介しておいた(第4回「Canned Heat」(1))"最高のグループ"の、黄金時代がとらえられているのであります。個人的に一番好きなヒート・ナンバーの一つ「Human Condition」のライヴが観られるんだからありがたや。
ほどなく亡くなってしまうAlan Wilson(Gt, Vo)の雄姿をとらえたドキュメントは、合間にオランダの風車の居並ぶ風景も挟み込まれる味わい深さ(観たらわかります)。そしてその後には、必殺の長尺ブギー「The World’s In A Tango/So Sad」が炸裂。こちらは熊さんBob Hite Jr.がリード・ヴォーカルをとって、バンド一丸で聴衆を乗せまくり。Canned Heatも(Santanaと同様に)ウッドストックでの伝説的パフォーマンスがありますが、私は紙一重でこちらの方が好き、かも。
インド音楽を取り入れたプログレ(?)のQuintessenceの「Giants」が観られるかと思うと、It’s A Beautiful Dayの「Wasted Union Blues」や「Bulgaria」が聴けたり、Jefferson AirplaneやThe Byrdsが堂々のステージを披露してたりと、全体としてはサイケデリック・ロッカーのフィーチュア度が高いように感じますな。
Dr.Johnが暗闇の中で明るい呪術ナンバー(?)を繰り出すなんていうのもありますし、T.Rex(こうクレジットされてますが、正確には当時はまだTyrannosaurus Rex)の「By The Light Of The Magical Moon」が挟まれたりもしますけど。
個人的に興味あるのはPink FloydとSoft Machine。70年ならいずれもサイケ・バンドというよりはプログレの担い手だったと思いますが、如何にと。ピンク・フロイドは「Set The Controls For The Heart Of The Sun」・「A Saucerful Of Secrets」(ともにアルバム『A SAUCEFUL OF SECRETS』所収)を披露。前者は、やっぱり(このフェスに合わせてか)呪術的なインストで、思いの外Nick Masonのワイルドなドラミングが面白い。後者はまさしくピンク・フロイドの世界ってやつで、彼らから『原子心母』やら『狂気』やらが生まれてくるのも納得の(?)好演。決して個々のプレイヤーがテクニカル、ってわけではないのですが、この吸引力は凄い。
Soft Machineは、セカンド・アルバム収録だった「Esther's Nose Job」をサードアルバム時のラインナップでやってました。Robert Wyatt(Dr)さんの動く姿をまじまじと観られて幸せ。シンプルなドラムセットから、実にカラフルな音が出てくるんだよなあ。サングラスに革ジャンの立ち姿が“Steppenwolf(っていうかJohn Kay)みたい”なMike Ratledge(Org)さんのフリーキーなオルガンも、画付きで観ると一層楽しい。ニコリともしないでスコアをめくりながら吹きまくるElton Deanさん(Sax)や、John Entwistleバリに「微動だにしないのに音だけは物凄いことになってる」Hugh Hopperさん(Ba)……どういう集団なんだ。音だけ聴くより面白いことは間違いなし。
あ、一つ忘れてた。The Flockっていうグループのパフォーマンス(「Big Bird」)もポイント。カントリータッチのフォーキー・ロックは、それだけなら私の理解の外なんですが、やけに目立つ若きヴァイオリニストが……後にMahavishnu Orchestraで名を馳せ、いずれSteve Morseさんの御仲間になるJerry Goodmanさんなのであった。これは観とかないと!
とまあ、いろいろ楽しめます。音楽的にはサイケやプログレ、フォーク好きの方におすすめかな。(部分的にはYoutubeなんかで観られるのかもしれぬね。)あと、1970年夏の時点でのカルチャーがわかるのも歴史の勉強になる。オランダの聴衆のノリ方とか、ファッションとか、お酒・drug事情(?)とか。
例によってわき道にそれましたが、本題は“動くMichael Shrieveを観よう!”でございました。まずはそれだけでもよろしく。
<完>