この機にもう一枚だけ、Randy Jacksonさん関連で。
The Sign『SIGNS OF LIFE』(2000)
- I’m Alive
- Crossed the Line
- Desperate Heart
- Aryon
- Forever Again
- Stranded
- All Your Life
- The Wait
- I Will Be There For You
- Nothing But A Heartache
- Wine
- Signs of Life
- Love Is Alive [bonus]
<メンバー>
Mark Mangold(Key, Cho)
Terry Brock(Vo, Gt)
Randy Jackson(Gt, Vo)
Billy Greer(Ba, Cho)
Bobby Rondinelli(Dr)
ランディさんはここでは「ギタリスト」。ヴォーカルは、やはりメロディアス・ハード系での名演多いテリー・ブロック氏。ベースのビリー・グリアさんはKansasやSeventh Keyで素晴らしい仕事してる方。ドラムのボビー・ロンディネリ様はRainbowで――この直後にはRiotでも――叩いたHRファンお馴染みのヴェテラン。マーク・マンゴールドさんはTouchでデビューしMichael Boltonとも協働したこれまた手練れ。このスーパーグループのマスターマインドはマンゴールド氏だったようですね。
Randy Jacksonは「ギタリスト」としての参加だといったばかりでしたが、Zebraっぽい味のある最初の「I’m Alive」を聴きますと、部分的には歌ってるようで……すね。間奏で疾走しつつキーボードソロとギターソロがサンドイッチ作るのは、このプロジェクトならではでしょう。この曲が最長で7分以上ある。その次の「Crossed the Line」はSeventh Keyでもやりそうな、Billy Greer色(?)のつよいハードポップ。「Desperate Heart」は、Journey「Any Way You Want It」風ですかね。
ピアノ入りバラード風に始まって盛り上がっていく「Aryon」が個人的にはまず気に入った。間奏でクラシック音楽的に展開するのも巧いです。ヴォーカルパートのリッチさもこのメンツならではというところで、バンドの個性が(やっと?)出てきたね。
バラード「Forever Again」ではヴォーカルの熱唱が聴け、スライド・プレイをフィーチュアしたギター・ソロもブルージーに決まります。躍動的な「Stranded」はちょっぴりZep風味but多重ヴォーカル(要するにZebra味か)。ボビー・ロンディネリ氏の丁寧なドラミングが光る。テンポは落ち着いてますが爽やかな「All Your Life」のライド・シンバル・ワークとあわせてお楽しみ下さい。この曲の終盤には少しSteve Morse風のギター後奏も聴けます。
「The Wait」はふたたびSeventh Keyっぽい味。テンポの切り替えがうまくドラマティックです。王道的バラード「I Will Be There for You」には外部ライターとしてPebe Sebertという方が参画(Mark M.と共作)。10曲目「Nothing But A Heartache」はキャッチーなハードポップ、一時期のJohn Wettonもこういうのを作ってたかな。
「Wine」はかすかにブルージーなミドル・スウィンギン・ソング。情感あふるる歌を味わうのが吉。本編ラストはタイトルトラック「Signs of Life」。抑えたテンポの曲ですがおとなしいわけではなく、3分前後の盛り上がりなどは熱い。そしてやはり彼らの最大の武器はマルチ・ヴォーカルなのだなあと感じさせる終盤。「Love Is Alive」は日本盤ボーナストラック。本編の諸作に引けを取らない劇的メロハー。
わかりやすい疾走曲はやや少なく、メタルファン向け即効性という点では弱いところがあるかもしれません。一方、ロックにおける「ヴォーカル」という要素をしっかりおさえている、全体としては質の高いメロディック・ロック・アルバム。よかったらどうぞ。
<完>