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時代の産物を追う?〔続〕(24)

<2019年作品>

 

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(3)Nick Beggs『WORDS FAIL ME』(UK)

 プログレ界隈で引っ張りだこのベーシスト/スティック奏者Nick Beggsさんのソロアルバム新作。ニックさんというと私にとってはLifesigns(キーボーディストJohn Youngさんのバンド)のデビュー作で弾いてた人。あと、Steven Wilson『THE RAVEN THAT REFUSED TO SING』への参加とかね。但し本作は、エレクトロニックとかアンビエントとかにカテゴライズされるような、Nick Beggs(Chapmanstick)の独奏もの。

 

 スティック(チャップマンスティック)っていう楽器とは……?

「スティックは、1970年代初頭に、アメリカのエメット・チャップマンによって発明された電気楽器である。彼は1969年に生み出した、両手をフレットに対して並行にして弾く、“フリー・ハンズ”タッピング奏法のための新しい弦楽器を設計した。スティックの最初のモデルは1974年に出荷された。」〔WIKIPEDIA

だそうです。私の知る範囲だと、King Crimsonに居る(あるいは居た)Tony LevinやTrey Gunnがスティック遣いですね。あと、せんだって亡くなったSean Reinert(Dr)とCynicGordian Knotで同僚だったSean Maloneだとか、Dream TheaterのJohn Myungだとかね。別にベーシストが弾かなきゃいけない決まりはありませんが、大抵はベーシストのアナザー・ウェポンですね。

 

 Nick Beggsさんて人の名前を私が始めて意識したのは上述のLifesigns『LIFESIGNS』(2013)。バンドメンバーの一人という扱いでしたので(現在は脱退、後任はJon Poole)、アルバムへの貢献を感じました。

 

 それから同年のSteven Wilson『THE RAVEN THAT REFUSED TO SING (AND OTHER STORIES)』(2013)にも参加されてましたね。同作については、伊藤政則さんのPower Rock Today(ラジオ番組)を偶々聴いてたら「The Watchmaker」というのが掛けられまして、「おお、この古くて新しい叙情プログレは何?」となりました。アルバムを探して再生してみたら、一曲目「Luminol」がベースがバッキバキの超絶テクニカルナンバーでびっくり。ドラムがMarco Minnemann、ギターにGuthrie Govanとか、テクニカル展覧会をやったら金賞をとるような連中が勢ぞろいしてました。

 

 で、そのイメージが強くあったので、ニックのソロ作もバリバリのプレイが聴けるのではと思って入手したら……まったく異なる作風でした。スティック一本(乃至多重録音)なので、ゴリバリのプログレではなくて、アコースティック・ギターのインストものを聴いてるような雰囲気。

 Nick Beggs『WORDS FAIL ME』(UK)

  1. Blue Eyes
  2. Portrait Of Tracy
  3. Midnight Cowboy
  4. Katerina
  5. Night Porter
  6. Tarantella
  7. Sheep May Safely Graze
  8. The Rainbow Connection

 

 クラシカルな雰囲気ありの「Portrait OF Tracy」など美しい曲がいろいろですが、面白かったのはリズム的に他と異色な「Tarantella」。あとは、繊細な音で組み上げられた「The Rainbow Connection」がいいなと思いました。

<続く>