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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第53回「内田勘太郎」(1)

 内田勘太郎さんが甲本ヒロトさん(元The Blue Hearts/元The High-Lows/現ザ・クロマニヨンズ)と組んで『ブギ連』というのを出していたことを、最近になって知ったのですが、“なるほどそれがあったか”というコンビネーションですよね。ユニット名がわが最愛のJohn Lee Hookerの「Boogie Chillen」に因んだりしてるのも最高……と言いながらまだ聴いていないんですけど。(2019年末現在)

 

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 内田勘太郎さんという方を知ったのは、NHKの趣味・教養番組のお陰でした。1996年9-10月のNHK趣味百科「アコースティック・ギター入門」という番組は実にいいプログラムで、ホストの加藤和彦さん+座付き講師の石川鷹彦さんに加え、回によってその道の専門家がゲストで登場して生演奏までやってくれるという内容でした。例えばボサ・ノヴァの回では小野リサさんがいらしたり。

 

 「アメリカン・フォークを弾く」・「カントリーを弾く」「日本のフォークを弾く」「ロック・ミュージックを弾く」などと続いたあとに、「ブルースを弾く」というテーマの回があったんですね。当時私はRobert Johnsonのコンプリート・レコーディングスにかぶれてまして、「やっぱりカントリー・ブルースだよね」とか知ったかぶっていたのですが(第19回「Robert Johnson」(3))、課題曲を「Sweet Home Chicago」にしているというので楽しみにしておりました。その回のゲストが内田さんだったとこういうわけです。

 

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 記憶が確かならば、番組が始まるとまず演奏場面になったと思います(内田さん+石川さん、だったかな?)が、アコースティック・ギターのみのその演奏のカッコいいのなんの。「うおおお、このおじさん、誰?」っていういま考えると失礼極まりない感想を抱いた小僧小生。その時点で私は、憂歌団を知らなかった(!)のです。まあ、高校生ていどじゃしょうがないですよね。

 

 番組では、課題曲以外にもボトルネック奏法の解説や、オープンコードの説明などもしてくれまして、「ブルース」って奥深いんだなあと思わせてくれました。スライドバーでなくてホントにボトルネックエルモア・ジェイムズ風の豪快なプレイを聴かせてくれたので、私はRobert Johnsonの後はElmore Jamesを探しに走ることになったりしました。

 

 本棚を探したら、当時のNHKテキストが出てきましたよ。われながら素晴らしい物持ちの良さ。せっかくですから紙面にある内田さんのお言葉を(インタビュー記事より)一部転記しておきますか……

 

 「(ロック好きだったが、だんだんブルースを聴くようになり、遡って古いものにあたっていって)で、アコースティックギターのブルースに出会ったんやけど、それがそのときの自分にバチっとフィットした。ロバート・ジョンソンとかマディ・ウォーターズとか、生ギター1本でひとりで演奏しているのに、四人でやってるロックバンドよりインパクトがあったから。“ひとりで生ギター1本でもこんなん格好よくできるんだ。コピーは難し過ぎてできんけど、雰囲気だけでも真似できたらええなあ”、そう思ったのが、憂歌団を始めるきっかけやね。」

 

 「何がギターのいいところかというと、タッチやから。タッチっていうのはすごく人間的なもんで、エレキでもBBやアルバートのタッチは個性があるし、皆そこに惹かれるんやと思うんですね。ただ、アンプをデカイ音にして弾くやり方は、タッチのニュアンスが消えがちだけど。/僕はほとんど指で弾くんやけど、そのほうがよりタッチのニュアンスが出るような気がする。メインで使っているこの生ギターは、もう23年も使ってるんだけど、よく鳴ってくれるし。といっても、最初はこんなふうに鳴らんかったはずやから、やっぱり弾きながら自分で鳴らしていったというか、ギターに鳴るようになっていただいたんでしょうね(笑)。力でギターに言うこときかせようとしても、絶対に無理やからね。とにかく、ギターは飽きることがない、ええ友達やね。」

 

 どうですか。やっぱり(私のような輩とも同じで)初めはロック少年だったんだなあとか、エレクトリックのシカゴ・ブルースのボス的存在マディの“アコースティックがイイ”っていうセンスがすごいとか、ギター一本の演奏に感銘を受けたっていうのはキース・リチャーズも言ってたなあとかね。Blues bandを“和訳して”「憂歌団」と名付けたという内田さんの深いブルーズ愛が感じられますね。ギターに関する話も納得。内田さんのプレイは‟タッチ”が生々しく、温かく感じられるものばかり。

 

(*Youtube畏るべしでして、趣味百科の映像も探せば観られちゃいますね。「内田勘太郎 加藤和彦」で検索すると、15分弱の映像が出てきます。)

<続く>