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"But holy men and kings would die in the year Twenty Twenty-five......"<Satan>

時代の産物を追う?〔続〕(7)

(5)Ten Years After『A STING IN THE TALE』(UK)

  1. Land Of The Vandals
  2. Iron Horse
  3. Miss Constable
  4. Up In Smoke
  5. Retired Hurt
  6. Suranne Suranne
  7. Stoned Alone
  8. Two Lost Souls
  9. Diamond Girl
  10. Last Night Of The Bottle
  11. Guitar Hero
  12. Sliverspoon Lady

<メンバー>

 Ric Lee(Dr, Perc

 Chick Churchill(Organ)

 Colin Hodgkinson(Ba)

 Marcus Bonfanti(Vo, Gt, Harmonica, Perc

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 『A STING IN THE TALE』はそんな彼らの2017年作。プロデュースはマーカス・ボンファンティ、楽曲はいずれもメンバー4人の共作となってますね。

 

 「Land of the Vandals」は、伝統的TYAのフォーマットに則ったロックナンバー。Ten Years After健在のご挨拶ってところかな。グッとテンポを落として始まりながらヤマ場で疾走する次の「Iron Horse」はちょっと面白い。太く低いマーカスVoiceがさらなる個性を付与。「Miss Constable」はミッドテンポのブルージーナンバー。地味目ながら起承転結かんがえられたギターソロがいい。ベースがよく動いて盛り上げるのも特徴的。

 

 オルガンのチックやドラムのリックは引っ込んでるのかというと、そうでもないんですよね。ソロがフィーチュアされる場面こそ多くないですが、ジョー時代よりさらに若返ったように活き活きとプレイしてる雰囲気なんです。オーソドックスなブルーズロックのフォーマットをベースにした分、自分流の表現がしやすくなったのかな。

 

 バラード調の「Up in Smoke」では、マーカスさんのアコギ捌きが楽しめます。ジャジーというよりはフォーキーなテイストのプレイは、アルヴィンやジョーには(あまり)なかったものではないかな。TYAらしいかというと‟そうでもない”ですが、こういう静謐な曲も出来るんだぞ、と。「Retired Hurt」はチックのオルガンから始まって弦楽器が受けつぐ、ヘヴィなリフレインの曲。ほのかに疾走する「Suranne Suranne」は好対照。チックのオルガンて、よく聴くとしっかり楽曲の背骨になってるよね。

 

 アコースティック・ギター掻き鳴らしから入る「Stoned Alone」。リゾネーター・ギターのような音も途中から入って来ますが、これもボンファンティ氏によるものですよね。彼はどうやら前任者たちよりも米国のルーツミュージックに造詣が深そうです。この味わいもニュー・ニューTYAならではかな。「Two Lost Souls」はアコギから入るもののすぐに疾走!ハーモニカがだいぶ盛り込まれてるが……これもマーカスのプレイか。貢献度大ですな。サビもキャッチーで、さっき申し上げたバンドの若返りが感じられます。

 

 「Diamond Girl」も、「I’d Love to Change the World」風のアコースティック・ギターから始まりますから、アルバム後半はそういう雰囲気のものを固めたんですね。ヴァースのところは淡々としていますが、サビ“♪Diamond girl……”のところでテンションが高まりまして、その背後の細かなドラミングに促されるようにして疾走的ソロパートに入っていくという、意外にも凝った作り。

 

 さ、終盤は。「Last Night of the Bottle」は、意外や本作では初のブギ・ナンバー。彼らはジョン・リー・フッカー系のブギを得意としてるんですけどね。まあ、やり過ぎると類型化しますから、ほどほどがよいのかもしれませんが……あ、この曲はチックのオルガンソロが長めに組み込まれてて良いです。彼ら流の疾走ナンバー「Guitar Hero」は、ギターソロがしっかりフィーチュアされていますが、リフはゴリゴリしてないので「ハードロック」とは感触が違います。締めくくりの「Silverspoon Lady」はいわゆる8ビートのロックンロール、これは彼らにとっては王道だったかな。

 

 記述のつごうで便宜的に3曲ずつ区切りましたが、内容もなんだかそのくらいずつ「パート」分けされてた感じがしますね。2010年代の「音」としては全体に地味なのかもしれませんが、先行するブルーズ・ジャズ・フォークそしてロックを消化しきった好作品であるとは断言出来ます。

<続く>