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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

時代の産物を追う?〔続〕(6)

(5)Ten Years After『A STING IN THE TALE』(UK)

  1. Land Of The Vandals
  2. Iron Horse
  3. Miss Constable
  4. Up In Smoke
  5. Retired Hurt
  6. Suranne Suranne
  7. Stoned Alone
  8. Two Lost Souls
  9. Diamond Girl
  10. Last Night Of The Bottle
  11. Guitar Hero
  12. Sliverspoon Lady

<メンバー>

 Ric Lee(Dr, Perc

 Chick Churchill(Organ)

 Colin Hodgkinson(Ba)

 Marcus Bonfanti(Vo, Gt, Harmonica, Perc

 

 わたくしがAlvin Lee派であることはお示し……してなかったっけ?テン・イヤーズ・アフターはもちろん、彼のソロアルバムにも手を出しまくってて、ほぼすべてが気に入ってるんです。数年前に亡くなられたときは、寂しく感じたものです。

 

 さて、実はTen Years AfterTYA)はアルヴィンが退いたあとも頑張ってたのです。

60-70年代の黄金期が終わり、80年代・90年代にもたびたびオリジナルメンバー再集結はしていましたが、2003年にアルヴィンと他の三名(Leo Lyons+Chick Churchill+Ric Lee)は別々の道を行くこととなりました。アルヴィンはソロ名義での活動を続け、TYAの名前は新メンバーを入れた三人が受け継ぎました。

 

 ニューTYAのギタリスト兼ヴォーカリストはJoe Goochといいました。私ははじめ、あれだけのスーパースターの後釜なんて、どんなヤツを入れても無理だろう、などとたかをくくっていたのですが、大間違いでした。ジョー・グーチは間違いなく逸材でした。線は少し細いですが歌はしっかり歌えているし、ギターの力量も申し分ない。アルヴィンのプレイとはまた別のモダンなシュレッドをさりげなく決められる名手だったのです。いまは紙幅の関係で省かざるを得ませんが、ニューTYAの第一作『NOW』の「Hundred Miles High」のドラマティックなソロは素晴らしすぎて、溜息しか出ません。古風なブギー・ロック(「King of the Blues」とか)ではチックのオルガン/ピアノとバトルを繰り広げたりね。

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 ジョー入りTYAは、ライヴ盤『ROADWORKS』――ジョーのプレイはライヴでも本物だった!――を出し、さらに新作『EVOLUTION』も発表して順風満帆……かと思ったのですが、バンド内では考え方の変化・分岐が生じていたようです。

 

 ジョーとレオ・ライオンズ(Ba)は少し新しいことをやりたくなったようで、バンドから離れます。彼らは他のパートのメンバーを入れてHundred Seventy Splitというバンドを始動、今日に至ります。私は探し回った挙句一枚だけアルバムを入手しましたが、いい音出してました。

 

 残ったのはチックとリー。TYAの看板はありますが、革新的なマインドの二人が抜けちゃったらあとはどうなるんだろう、懐メロバンドみたいになってしまうのだろうか?と、これまた外野のくせに余計な心配をしたのですが、ここで私は二度目の喝を入れられるのでありました。

 

 彼らは、ベースにColin Hodgkinsonというヴェテランを迎え入れます。コリンさんは、Alexis KornerSpencer Davisの周辺で演奏してきた職人的名手で、ハードロック界隈ではWhitesnakeなどでもプレイしています。まあ、この人選は「なるほど!」という感じでした。やっぱり問題はアルヴィンの後釜ジョーの後釜。才人二人の後に誰が入るの?――その答えが、Marcus Bonfantiさんでありました。正直に白状しますが、この方のことはまったく知りませんでした。ソロアルバムも出してるほか、セッション的にいくつもの仕事をしてきた人のようですが、他のメンバーよりは(おそらく)だいぶ若いと思われ――まあ、ジョー・グーチもそうでしたけど――ます。

 

 ニュー・ニューTYAの音源には、はじめオフィシャルサイト上の動画等で接しんだったと思いますが、そのときは「ジョーみたいなフラッシーなプレイはないんだなあ」くらいの認識でした。(すみません。)ニュー・ニューTYAが最初に出した作品が、往年の名曲多めのライヴ盤だったのも、ちょっと後ろ向きな気がして、しばらくチェックしなくなってしまったのです。ファンの風上にも置けないヤツだ。新曲による新譜(本作)が出たというので、だいぶたってからチェックして、遡ってライヴ盤『THE NAME REMAINS THE SAME』(2014)も聴いてみたら……良かったねえ。なんでも決めつけちゃあいけないね、という教訓ですよコレは。

 

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 『THE NAME REMAINS THE SAME』を聴くと、アルヴィンやジョーとの違いがよくわかりますけども、まずマーカスさんは声が太くてタフな感じ。これだけでも随分印象が変わります。そしてギタープレイはオーソドックスなブルーズ・ロック路線で、ジョーのモダン技術はない代わりに、タッチの生々しさまで伝えるライヴな手触りのフレージングが美味しい。ジョー時代には(たぶん)やらなかったジャズ色の強い「Me and My Baby」を快活にプレイしてるのも、バンドの新局面じゃないかな。

 

 新作『A STING IN THE TALE』については、すみません、次回に。

 <続く>