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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第49回「Quatermass Ⅱ」(4)

 本家Quatermassの唯一作、続きです。

 

Quatermass『QUATERMASS』(1970)

  1. Entropy
  2. Black Sheep of the Family
  3. Post War Saturday Echo
  4. Good Lord Knows
  5. Up on the Ground
  6. Gemini
  7. Make up Your Mind
  8. Laughin Tackle
  9. Entropy(Reprise)
  10. One Blind Mice [bonus]
  11. Punting [bonus]

<メンバー>

Pete Robinson(Key)

John Gustafson(Ba, Vo)

Mick Underwood(Dr)

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 次の「Gemini」は彼らにしては珍しいアップテンポのナンバー、Steve Hammond作。これに先立ってEric Burdon & The Animals――当ブログ命名の由来となったバンド也――のアルバム『LOVE IS』(1968)で取り上げられています。(ちなみにそちらでは、ギターにAndy Summersが参加してるのね。)こちらのヴァージョンはハード・プログレ色が全開で、間奏のオルガンとドラム・フィルの絡みなんかもう最高。いやあ、Quatermassの三人も巧者揃いだが、Steve Hammondってえ人の作曲力にも脱帽だわな。

 

 次もハモンド作品、「Make Up Your Mind」。ベースがバキバキ言ってるけど、歌メロは物凄くキャッチー。と思ったら1分40秒くらいで終わっちゃった?……ちがう、怪しげなプログレ・パートが大展開し出したわ。ELPの「Tarkus」じゃないけど、なんかああいう物々しい感じね。Peteの鍵盤は多彩多様だし、Johnのベースも変幻自在、もちろんMickの質実剛健ドラムの上でね。お、8分15秒から冒頭のような爽快な歌パートに戻ったぞ。シンフォニックに締めくくったね。

 

 と、些か疲れながらも再生を続けると、次もPete Robinsonによる超大作「Laughing Tackle」。ピート自身のアレンジによるストリングスも大フィーチュア。「クラシックを昇華できるのはJon Lordだけじゃないぜ!」ってとこかな。この曲の(ドラム的な)聴き所は、4分25秒辺りからの「ドラム・ソロ」セクション。5分50秒からはこんどはベースとクラヴィネットが不穏な雰囲気を醸し出す。しかもそこへ、ELO(Electric Light OrchestraのファーストかThe Beatlesの「A Day in the Life」かっていうような「重いストリングス」が追加。切り替わってジャジーなワルツ風リズムが執拗に繰り返される上へも同様に。インストゥルメンタルの壮大な、実験的な(真にプログレ)曲でしたな。最後の「Entropy(Reprise)」につながって行って、おしまい。

 

 やっぱり、ハードロックというよりプログレとか「アートロック」と言った方がいいのかな。私の持ってる再発CDボーナスの「One Blind Mice」(元はシングルナンバー)は、3分ちょっとのハード・ナンバー(三人共作)ですけどね。もう一つのボーナス「Punting」(三人共作)はそのB面だったというインスト。ジャム・セッションを録ったっぽい構成と音像だけど、ミックのヘヴィで安定したドラミングがピートの奇天烈フレーズとジョンのメロディアスベースを包み込んでいますなあ。

 

 といいわけで、名作は人にあることないこと語らせる力を持っています。『QUATERMASS』は数年前にボーナスディスク付きの再発盤が出てましたので、探しやすいかと思います。(私はボーっとしてたら逃したんで、相変わらず1996年再発のヴァージョンを聴いていますがね。)Rainbowのファーストが好きな人、ELPAtomic Roosterが好きな人、変な人力(じんりき)ロックが好きな人には、お勧めです。

<完>