続き。
QuatermassⅡ『LONG ROAD』(1997)
- Prayer for the Dying
- Good Day to Die
- Wild Wedding
- Suicide Blonde
- River
- Long Road
- Woman in Love
- Hit and Run
- Daylight Robbery
- Coming Home
- Circus
- Undercarriage [Demo Version]
<メンバー>
Gary Davis(Gt)
Bart Foley(Vo, Gt)
Nick Simper(Ba)
Mick Underwood(Dr, Perc)
+ゲストDon Airey(Key)
7曲目の「Woman in Love」は、スロウテンポのバラードかな。ハードヒットしないミックさんが影薄い……とか思ってたら、そうでもなかった、後半にかけてのダイナミズムの演出はさすがヴェテラン。機械じゃない人力ドラムはこういうところが最高だよね。ねっ!ただ、アルバム的にはやや似通ったテンポが続くかな。
そこで次の「Hit and Run」はちょっと雰囲気を変えてきた。直線的に押すリズムと、メジャー調のブルーズロック風ギターリフが力感をもたらす。ゲイリーのギターソロもいろんなフレーズの組み合わせが天晴れ。
9曲目の「Daylight Robbery」は、もろ「NWOBHMかよ!」ってなナンバー。私はWhite Spiritの「Midnight Chaser」を思い起こしました。歌メロもちょっと雰囲気が似てるなあ。え?この若作りな曲、John Gustafson提供なの?いつごろ作った曲なんでしょうねえ。ミックやニックも元気だし、ゲイリーとバートもここぞとばかりに前のめり、いい感じ。
スケールの大きさを感じさせる――メロディアス・ハードの王道的進行だ――リフとコードの「Coming Home」もグレイト。コーラスのところで“I’m comin’, I’m comin’ home…..”と歌われるのが心地好く耳にのこる。(ところで、まったくの偶然だと思いますが、先日登場させたNaritaの関係バンド――Henrik Poulsenの作った別バンド――Prime Timeのサードアルバム『FREE THE DREAM』にも「I’m Coming Home」っていう曲があって、メロディはもちろん違いますがやっぱり“I’m comin’, I’m comin’ home…..”っていう歌いまわしが出てくるんですよね。“そういうふうに”歌いたくなるフレーズなのかな?)いやあ、こういう曲好きですね。
本編ラストは「Circus」というバンド4名の共作になるナンバー。各人の得意なところがよく出た、パワフルな一曲。ゲイリーのギター・ワーク――たぶん、Jimmy Page辺りに影響を受けてるのでしょう――も多彩でよいし、バートのスモーキーヴォイスも味がある。ミックとニックは、やっぱり8ビートを操らせたら天下一品ですな。ナイス!
私のCDでは12曲目に入ってる「Undercarriage」は、ボーナストラックで、Gary Davis作の曲のデモだそうです。録音音質は良くなくて、歌はほとんど聴こえませんが、ハードなリフとゴリゴリしたリズムセクションは捨てがたい。
というわけで、「なんだ、Pete RobinsonもJohn Gustafsonもいないじゃん」といってスルーしてしまうのはあまりに惜しいブリティッシュ・ハードロックの佳作に仕上がっていたのでした。
<続く>