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"Louis XIV, finesse and force......."<Chroming Rose>

第49回「Quatermass Ⅱ」(1)

 本家Quatermassについてはいろいろすでに語られていますし(ちょっと調べてみて、ネット上の情報の多さに驚いた)、実は当ブログでもすでに「Black Sheep of the Family」の名演について言及済みです(第29回「ロックンロール動物園・十二支編」(3))。そこで、天邪鬼な私としては、今回は「Ⅱ」の方を繰り出そうとこういうわけで。

 

QuatermassⅡ『LONG ROAD』(1997)

  1. Prayer for the Dying
  2. Good Day to Die
  3. Wild Wedding
  4. Suicide Blonde
  5. River
  6. Long Road
  7. Woman in Love
  8. Hit and Run
  9. Daylight Robbery
  10. Coming Home
  11. Circus
  12. Undercarriage [Demo Version]

<メンバー>

 Gary Davis(Gt)

 Bart Foley(Vo, Gt)

 Nick Simper(Ba)

 Mick Underwood(Dr, Perc

 +ゲストDon Airey(Key)

 

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 どうです、このメンツ。地味に凄くない?本家QuatermassのメンバーだったのはMick Underwood。Mickさんは、Gillanでの80年代前半頃の活躍が個人的には好き。「Unchain Your Brain」(『GLORY ROAD』収録)のビシバシ決まるなドラミングなんか、NWOBHMの若い連中が束になってもかなわんよ。

 

 彼と語らってバンドを動かしたのはNick Simperらしい。ご存知Deep Purple第一期のベーシスト。(Roger Gloverの前任ね。)パープルをやめ(させられ?)てからもWar HorseとかFandangoとか、渋いブリティッシュハード作品を残してる人。近年はNasty Habitsという連中を率いてDeep Purple第一期の楽曲を演奏するプロジェクトなんかもやってます。

 

 ミックとニックは旧友らしいんですが、1994年頃、ジャムったりするうちに「バンドをやろうや」ってことになったと。セッションシンガーのPeter Taylorと元GillanのBernie Tormeを引き入れて始動したそうですが、間もなくヴォーカルとギターが交替。それぞれBart FoleyとGary Davisが後任になったというわけです。この二人が作ったマテリアルが大部分を占めるほか、Bernie Tormeの曲と、本家Quatermassのベーシスト兼ヴォーカリストJohn Gustafson作の曲も入って、『LONG ROAD』は完成しました。あっと、忘れちゃいかんが、元Rainbow他で現Deep Purpleの名手Don Aireyもキーボードで客演しております。

 

 さあ、聴いてみよう。陰陽座の「桜花の理」っぽい――No,こっちが先だった――ギターのアルペジオから始まるのが、1曲目「Prayer for the Dying」。Bartのやや塩辛いヴォーカルが渋いミドル・ナンバー。Garyの泣きのギターも味わい有り。

 

 少し地味かなあ、と思っていると、2曲目にヘヴィなリフの「Good Day to Die」が来る。Mickのスケールの大きなドラミングがイイ。メロディアス且つ(微かに)東方風のGaryのギター・ソロも良し。“♪Good day to die……”というリフレインも耳に残る。

 

 3曲目はJohn Gustafson提供の曲なんですが、70年代的なプログレ風味は無くて、むしろアップテンポの――Chris Speddingが大好きそうな――明るいロックンロール。こういう曲を弾いてるドンさんってあまり思い浮かばないけど、リトル・リチャーディッシュな転がるピアノも素敵。3分弱で潔く終わり。

 

 再びBart & Garyのペンによる「Suicide Blonde」へ。バートさんの声質の性もあるかな、哀愁漂う一曲で、ニックさんのベースもいい動き。ゲイリーさんのギターは、80年代を通過したものらしく、モダンな技(タッピングとか)も織り交ぜてきてたりする。このあたりの「いかにもトラディショナルなハードロックの中に、新人のセンスとテクを突っ込んでくる」ところは、かつて当ブログで取り上げたSix Ton Budgieとか、Alvin Lee脱退後のJoe Gooch入りTen Years Afterとかにも共通するところかなと。

 

 次の「River」はバーニー・トーメ(先だって亡くなってしまいました……)作のナンバー。バーニー自身1997年のアルバム『WILD IRISH』で取り上げていまして、そちらでは自分で歌ってギターを弾いてます。QuatermassⅡヴァージョンは、ピアノも入ってより劇的に演出されております、物悲しい雰囲気のバラードです。ゲイリーのソロもバーニー版に負けてない華やかさあり。

 

 タイトルトラック「Long Road」は6曲め。オルガン+歌でしんみりと始まりつつ、ドラムが入るところからは(どことなく)Led Zeppelinのテイストを感じさせる展開となるのです。「ダダダダ、ダダダダッ」っていうシンプルなスネア・フィルが心地好い。

<続く>