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Riot特集:時系列全作品紹介(1)『ROCK CITY』

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 またしても温故知新シリーズ(むかし書いたのを載せてます)を一時中断しまして、最近書いたものを掲載させていただきます。今回は、わが最愛のバンドRiotの作品について、時系列で全作品紹介をしてみようという、チャレンジングな企画でございます。

 初回はもちろん、彼らのデビューアルバム『ROCK CITY』

 

Riot『ROCK CITY』1977

  1. Desperation
  2. Warrior
  3. Rock City
  4. Overdrive
  5. Angel
  6. Tokyo Rose
  7. Heart of Fire
  8. Gypsy Queen
  9. This Is What I Get

<メンバー>

Mark Reale(Gt)

Guy Speranza(Vo)

Peter Bitelli(Dr)

Jimmy Iommi(Ba)

L.A.Kouvaris(Gt)

 

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 記念すべきファーストアルバム。Steve LoebのFire Signというインディペンデント・レーベルからのリリース。何といっても「Warrior」が有名です――確かに本作中ではずば抜けて優れた曲であり、ハードロックの歴史に残るべき名曲!――が、そこだけにとらわれるのは勿体ない。Riotの個性は「ブリティッシュっぽさ」だけにあるのではないのです。

 

 例えば1曲目「Desperation」。(同名の曲がSteppenwolfにもありますが、無関係。)その後のRiotで似た曲が一切作られなかった個性的楽曲。細かいリフの刻みとリズム(ドラムパターン)のインパクトはなかなかのもの。後でも申し述べますように、初期RiotMontroseRick Derringerといった米国勢とDeep PurpleLed Zeppelinといった英国勢のエッセンスを比較的ストレートに反映した曲作りをしていましたが、これだけは類例が見つからない。ライヴでもやられたことは無いはず……とずっと思っていたのですが、さすがに最初期のライヴでは演奏されてましたね。『THE OFFICIAL BOOTLEG BOX』Vol.1のDisc1で聴けます。

 

 そして、その次が「Warrior」なわけ。この曲は英国風味が確かに強い。本作中では珍しくキーボードがまぶされていますし、そもそも作曲者の一人にデビュー前のメンバー(キーボーディスト)Steve Costelloが名を連ねているのです。ところが、このメイン・リフ、もう少しシャッフル調にしてみると、Montroseの名曲「Matriarch」あたりもイメージさせるのですね。英米折衷こそ彼らの真髄なわけです。単純ながら印象に残る歌メロ、ぽっと出の若造とはとても思えない粘っこいギターソロ(間奏はもちろん、後奏も素晴らしいので最後まで聴くように!)、3分50秒という絶妙な長さ。申し添えておきますが、ストレートなHR/HMは3分50秒という長さがベストであると断言しておきますぞ。重大な事実をお伝えしますが、Riotのまた一つの名曲「Thundersteel」も3分50秒なんですよ。もうこれで私の中では証明終わり。

 

 一転してカラッとした「Rock City」が出てくるのも、楽しいと思わないといけません。ライヴでの定番でありまして、彼らはずっと演り続けました。シンプルなロックンロール。これがアルバムのタイトル曲であるということもしっかり押さえないといけません。

 

 Montrose「Rock Candy」風、あるいはそのさらに影響源と思しきLed Zeppelin流のヘヴィ・チューン「Overdrive」。途中で疾走するパートが組み込まれるのは、先達たちにはない味わいですが……。なんといってもPeterのドラムとMark達弦楽器隊の一体感が素晴らしい。ライヴでも好んで演奏されましたが、ギターソロ部分が拡張されて長編になることもありました。Guyの歌唱も力強い。

 

 続いても、ステージのオープニングなどによく演奏された「Angel」。Rhett時代以降は演奏されなくなってしまいましたが、この元気いっぱいの疾走ナンバーは捨てがたい。2分辺りからのギター・ワークが素敵。

 

 「Tokyo Rose」はRiotが“日本”を題材とした曲として有名ですが、明るい曲調のこの曲、あらためて聴くとGuyのヴォーカルが最高に映えてますね。2分10秒くらいからの短いツインギター、その後の静まるパートなど、実は色んな工夫も施されてます。

 

 7曲目「Heart of Fire」は高速シャッフル。歌メロは割とビッグなんでインプレッシヴですな。パートごとのリフはどこかで聴いたことがあるような気もしますが。

 

 8分の疾走曲「Gypsy Queen」も、後にはあまり聴かれなくなるパターンかも。コードの展開が終始メジャー調で明るい印象、Huey Lewis & The Newsあたりがやってもおかしくないアメリカン・ロック。ちなみに、Riotは後に「Queen」(『SONS OF SOCIETY』収録)とか「Gypsy」(『INISHMORE』収録)とかっていう曲を作りますが、関連性は無し。

 

 前曲がすごく「爽快」な展開で結びまで行くので、アルバム完了感が半端じゃないのですが、もう一曲あった。「This Is What I Get」。ヴォーカルに若干エフェクトが掛けられていたりしてちょっと異色かな。アンコール的な楽曲の位置付けでしょうか。この曲こそは、ライヴで演奏されたことがないのでは。

<本作について完。特集は続く>