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"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳178

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Vice SquadThe Times They Are A Changin’」(『PUNK COVERS』

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 いつまでも「時のひと」であるBob Dylan……彼を敬愛するアーティストも数多いですが、これはちょっと知らなかった。80年代英国パンク・バンドVice Squad、81年のファースト・アルバムに入ってるそうです。(例によって私はコンピレーションで聴きました。『PUNK COVERS』2002)

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 最初アコースティック・ギターが掻き鳴らされるので、「おや、原曲の感じでやるのかな?」と思うのも束の間、スネアが「ドン・ドン・ドン・ドン」叩かれると突撃パンクロックに大変身。ヴォーカルはメロディをしっかり歌っているので、元の曲らしさはアリます。Beki Bondage(Vo)さんは、いいシンガーですね、これまで不勉強で知りませんでしたけど……

 

 何度かの中断を挟みつつヴァイス・スクアッドは続いているようで、それ自体凄いんですが、ふと彼女らのオフィシャル・サイトを訪問したら、トップからの誘導で「Ace Of Spades」(勿論Mötörheadの)のカヴァー・ヴィデオに運ばれました。「?」と思って再生すると、カントリー・タッチのアコースティックなカヴァーが飛び出してきてまたビックリ。説明によると、レミーやフィル、ワーゼルと知り合って一緒に飲んだくれたこともあったんだそうな……パンクとメタルの双方から慕われるLemmy & Mötörheadはやっぱりスゲエ。むろん、Vice Squadも追っかけてみる価値ありと再認識しましたよ。

どんぱす今日の御膳177

177

Alchemist「Black Metal」(『PROMOTERS OF THE THIRD WORLD WAR:A Tribute to Venom』1994)

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 ときどきこういうの(↓)入れていかないと、メタラーとしての資質を疑われてしまうよね……

 

 新星堂の吉祥寺店でこのCDを見つけた時はビックリした。いまでこそVenomがある種のメタル界隈ではカルト的に尊敬されてます――正直言って、彼らのジョークがシリアスに受け取られ過ぎてる気がしてちょっとヘンな気もするけど――が、90年代半ばで「トリビュート」が出てたのか、と。

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 ヴェノムの曲で私が一番好き――というかほかにあまりよく知らない――な「Black Metal」をカヴァーしてるのがAlchemistというグループ。何者か知らなかったので今調べて書いてます(泥縄!)が、1987年結成のオーストラリアのバンドらしい。ジャンル的にはプログレッシヴ/アヴァン・ギャルド・メタルなんですって。それだとSigh(from Japan!)とかと近いのかなあ。2010年解散っていうので、けっこう長生きグループだったんですね。アルバムも複数残していますが、私は未聴。

 

 「Black Metal」のカヴァーはどうかなというと……まず冒頭はブラーなSEからドゥーミーなイントロへ。おろ?と思っていると本家バリの突進モードに移行します。意図的にヴェノムっぽいバタバタ感を出してる、ような気がするね。ヴォーカルはきたない(褒めてる)けど、ドラムが本家よりウマイ。間奏部分がまたスロウな“ドゥーム”になって、禍々しい雰囲気を振りまきながら閉幕へ。へえ、結構面白かったね。

 

 本年を締めくくる投稿が「コレ」って、どうですよ。よいお年を!

どんぱす今日の御膳176

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Stevie Wonder「Superstition(Vocal1)」(『SUPERSTITION:MULTITRAXX SERIES Vol.1』

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※☝こちらは如何に紹介するヴァージョンとは別(完成版の「迷信」)

 

 どうやらこれは非公式作品のようなのですが、あまりに興味深かったので……

 

 スティーヴィー・ワンダーの名曲「Superstition」(迷信)は皆さまよくご存じだと思います。決してロックマニアではないわが老母(っていうと怒られるな……)もこの曲がお気に入りだったもので、私も早いうちから聴いていたのですが、確かにかっこいいですわな。ドラムも本人が演奏してるなんていうのはだいぶ後から知りまして、ティーヴィーの天才ぶりには驚愕したものですが……

 

 『SUPERSTITION:MULTITRAXX SERIES Vol.1』という二枚組は、この名曲のパートごとの音源が細かく収録されている、謎のアイテム。全部同じ曲ですから、16トラック全てが5分34秒ですが、「Kick」と題されたトラックはバスドラとスネア“だけ”、「Ovhead Hi-Hat」と題されたトラックはハイハットとスネア“だけ”、「Clavinet」はクラヴィネット“だけ”、「Horn」はホーン・セクション“だけ”……名曲を分解するとこうなる、なんていうのは初めて聴きました。

 

 で、聴き通して最もインパクトがあったのが「Vocal」というトラック(1・2の二つがある)。この曲、クールなクラヴィネットサウンドやダンサブルなビートに耳が行きますが、「歌メロ」がこんなに!こんなに!独創的で凄かったとは。ヴォーカル「だけ」抜き出して聴くと、そのメロディラインの特異さが際立ちます。ソウルフルなコブシ回し、ロック的なアグレッションのつけ方、スムースなラインの流し方……まったく天才的というほかありませんでした!!何をいまさら、という感じですが……。

 

 ハードロック業界でも「ティーヴィー大好き!」っていう人はそれなりにいるんですよね。例えば元Deep PurpleGlenn Hughes氏とか、歌いまわしもティーヴィー風だったりして、「この人あ歌うめえ」とずっと思っていたのですが。

 

 これは別にグレンを貶める意図は全くないのですが、彼のうまさはあくまでヴォーカル・ワークの巧みさの次元(凄いパワーの声で高い音を歌いこなしたりできるという意味)にとどまるのですよね。まあ、それだけでも常人離れしているわけではあるのですが……Stevie Wonderは歌メロの「構築」そのものを凡人には思いもよらない高次元でやってのけているので、創作者としては一層圧倒的なのです。

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 まあ、こんなヘンな音源集を耳になさる機会はあまりないかもしれませんが、オリジナルの「迷信」の歌メロをよーく聴いていただけると、私の言いたいこともわかっていただけるのではないでしょうか。ティーヴィービリー・ジョエル曰く「彼は一日に一曲作るらしいよ”ワンダー天才すぎる、と……

どんぱす今日の御膳175

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The Jimi Hendrix ExperienceKilling Floor」(Various Artists『MONTEREY INTERNATIONAL POP FESTIVAL Disc4』1992)

 

 Jimi Hendrixは、凄い凄いといわれつつ(言われ過ぎるから?)、あまりちゃんと聴いていなかった私。Jimi Hendrix Experienceのベスト盤は持っていたので、キャリア前半の代表曲はある程度知っていましたし、「Fire」「Stone Free」「Voodoo Child」など“コレイイ!”と思える曲もいくつかはあったのですが……

 

 ウッドストックの映像も観ました。確かに「凄い」とは思いましたが、なぜか私は彼のライヴ作品を追い求める方向には進まなかったのだ。そういう感度の低い私がはじめて(?)「うおお、これだコレ」と夢中になったのが今回のテイク。伝説のモンタレー・ポップ・フェスティバルにおける「Killing Floor」です。

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 曲自体は60-70年代のミュージシャンに愛された、Chester Burnett(Howlin’ Wolf)作のブルーズ・クラシック。Canned Heatのヘヴィ・ブルーズ版もよいですが、Electric FlagMike Bloomfieldが立ち上げた名バンド)のファンキーなテイクも印象的ですよ……と言っておきながら、このジミヘンの名演もまたすばらしいのです。

 

 1967年6月18日の夜の部(フェスの)に登場したジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス。MCの紹介に続いてジミが猛烈なカッティングを開始、もうこの時点でグッと引きずり込まれます。で、さらにMitch Mitchell先生の元祖手数王(?)とでも呼ぶべき叩きまくりングが合わさってくるという、おそろしい演奏。ジミ流歌唱もピタリとはまって、「ああ、このグループのライヴはホントウに凄かったんだなあ」と思わされるのでありました。

 

 同夜は他に「Hey Joe」「Purple Haze」「Like A Rolling Stone」ほか名曲・名演目白押し状態。数あるジミの実況音源の中でもベスト的な内容ではないのか……と浅いファンの私が言っても説得力はありませんが。機会があったら「モンタレーのジミ」はチェックの価値ありですよ。

※☟モンタレーのテイクが見つからず……

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どんぱす今日の御膳174

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Purp Deeple「Lady Double Dealer」(Various Artists『LITTLE BY LITTLE AND BIT BY BIT』2003)

 

 みんな大好きDeep Purpleの、(one-shot)カヴァーバンド。梶山章(Gt)+人見元基(Vo)+内田雄一郎(Ba)+岡垣正志(Key)+堀江睦男(Dr)の諸氏。マンドレイク・ルートRecordsによるコンピにだけ収録されてるレア・テイク。

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 MarkⅢディープ・パープルの疾走曲を、歴戦の猛者たちが本家への敬愛を込め丹念に仕上げ。梶山さんのギターや岡垣さんのオルガンの“本人よりも本人らしい(?)”紫色のプレイも凄いが、人見先生の(Vow Wow解散以後一線を退いているとはとても思えぬ)ヴォーカルが強烈。

 

 ついでに、人見さんとDeep Purpleというと、1996年のトリビュート・アルバム『WHO DO THEY THNK WE ARE ?:A Tribute to Deep Purple from Japan』も思いだされます。全十曲のオムニバス中「Burn」、「Lay Down, Stay Down」、「Strange Kind Of Woman」、「Lady Double Dealer」の4曲で熱唱……って、同じ曲でしたね。

 

 ところが興味深いのは、1996年盤のディーラーは人見氏のほかは池田繁久氏(Gt)+増田隆宣氏(Key)+柴田直人氏(Ba)+宮永英一氏(Dr)でして、まるでメンツが異なること。こちらも基本的には原曲に忠実なのですが、やはり質感はちょっと違うのがおもしろい。マニアは両方(探して)聴き比べて下さい。これでイントロ・クイズとかやってほしい。

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『WHO DO THEY THNK WE ARE ?』版

 

 なお、1996年盤の「Strange Kind Of Woman」では梶山・岡垣・内田の諸氏もプレイしてますし(もう一人のギターが藤本泰司氏、ドラムは宮永氏)、人見氏でなく二井原実氏がリード・ヴォーカルの「Woman From Tokyo」では堀江氏がドラムなので、『LITTLE BY LITTLE AND BIT BY BIT』と”人脈が異なる制作”というわけではない、です。

 

 聖飢魔Ⅱ信者(自称)の私としては、『WHO DO THEY~』の「Burn」で人見氏とデーモン小暮閣下がダブルヴォーカル競演してるのとか、「Lay Down, Stay Down」でルーク篁参謀が(池田氏とツインで)ギターを弾いてるのとか、そういうところが美味しゅうございました。おお、両曲ともベースは柴田さん――確かMarkⅢの支持者でいらしたはずで、このトリビュート・アルバムでも第3期曲はすべて氏がプレイ――ということは、デーモン&柴田とか柴田&ルークは共演済みっていう認識で良いんですかね?