本アルバムには「Good Morning Little Schoolgirl」のようなブルーズ・クラシックも少々入りますが、オリジナル曲の出来が良い。特にアタマのタイトル曲「Lie to Me」は、クラヴィネット演奏でもこの曲に参加するBruce McCabe(とDavid Z)の作曲で、程よくブルージー程よくキャッチーな配合の佳曲。上述の老成ヴォーカル+堂に入ったソロでジョニーの見せ場も十分。
ところが先日音源整理をしていたら、今回のが出てきました。英国のヴォーカル・グループThe Four Jones Boys版。1956年録音ということなので、リトル・リチャードの原曲が出てからすぐにカヴァーされたことになりますか。強烈なバック・ビートがR&Rの基礎を作ったオリジナル……とはガラッと装いを変えて、スウィング・ジャズ+多重ヴォーカル(doo-wop?)の異色ナンバーに。どうせやるならこれくらいに至ると面白いですな。
スペシャルティ時代のロックンロール・クラシックが最高なのは言うまでもないことでございますが、それより前の時期にも彼は録音をしていて、たとえばこんな「米、小豆と蕪」(?)なんてのがあったと。Peacockレーベルに残された1954年のシングル「Always」(クレジットはTempo Toppers feat. Little Richard名義)のB面だったそうでございます。(私は『5 CLASSIC ALBUMS PLUS BONUS SINGLES』という2012年の4枚組廉価コンピで聴いています。)
この「Rice, Red Beans and Turnip Greens」にしても、そのA面だった「Always」にしても、分厚いバッキングのついたR&Bといったところで、軽快なノリ、パワフルなサックス・ソロ、ゴスペル風味を増すオルガンの味わい……良いのですが、リトル・リチャードの歌唱は(うまいですけど)個性的というほどでない。