DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳092

092

Bruce Springstone「Take Me Out To The Ball Game」(Various ArtistsBASEBALL’S GREATEST HITS』1989)

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 さすがはベースボール・ネイション米国、baseballがワン・音楽ジャンル。こんなCDまで出ているのね!?

 「Take Me Out To The Ball Game」というのはballparkにおける定番中の定番ソングだそうですが、このヴァージョンは笑える。

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 アーティスト名からしてジョーク全開ですが、かの「♪野球場に連れてって」ソングを、ブルース・スプリングスティーンロック・アレンジでやっております。「明日なき暴走」みたい……って、野球選手は暴走しちゃダメだろ!

 

 「中の人」が誰だか知りませんが、欧米のパロディセンスはすげえですな……と、いま調べたらヴォーカルはTom Chalkleyという人だそうです(録音は1982年とか)。上のCDに頼らなくとも、さがせば聴けちゃうようだから、この素敵な暴走(悪ノリ)を是非いちどお聴きなされ。これほど「アメリカン」を体現しているものも滅多に無いのでは!?

どんぱす今日の御膳091

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Joe South「Hush」(『THE BEST OF JOE SOUTH』1990)

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 あけましておめでとうございます。

 第1期Deep Purpleのヒット曲「Hush」を作った人による自演版。もともとは、ジョーさんが作り、Billy Joe Royalという人に提供された(1967年)もの。ハネるリズムがファンキーなナンバーで、ビリー・ジョー版もチャート入りしたそうです。Youtubeで聴いてみると……なかなかソウルフルな歌いっぷりですな。

 

 時系列でいうと、その後Deep Purple版が作られ(1968年4月頃)、さらにその後Joe Southがセルフ・カヴァー(アルバム『GAMES PEOPLE PLAY』1969)したという流れのようですので、ジョーさんはディープ・パープルのヒットに何らかの感慨を抱いた可能性がありますね。実際、Billy Joe Royal版よりも1分以上長くまたヘヴィなアレンジになっていますしね。さすがにオルガンソロを長々フィーチュアしたりはしないので、パープル版(4分強)ほどではないですが。それと、ジョーさん声と歌い方がRod Evans(Deep Purple初代Vo)とそっくり……って順番が逆か?

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 いい曲は“リアルタイムでカヴァーが出まくる”時代っていうのは、面白いですな。

ロックンロール青果店(22)

(22)Tommy Bolin「Cucumber Jam [Early Version]」

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 だんだんと、曲名と青果そのものとに関係が無いような気がしてきた今日このごろ。この曲もインストなもんで、別にキュウリは関係ないような。

 

 Tommy Bolinて人も、私けっこう好きでして(私が生まれた時にはすでにお亡くなりだったんですけど)、この人の関わった音源ていろいろ聴きたくなる。ソロ、Deep PurpleJames GangZephyrからBilly CobhamAlphonse Mouzonまで、大抵アタリです。いろいろ厄介な問題も抱えていたようですが(薬物関係)、スタジオで残した作品は宝の山。

 

 没後から出されるようになった秘蔵音源集のようなものも、手を出し始めると大変。今回の曲は『THE ULTIMATE:REDUX』(2008)という3枚組コンピ――ゼファーのライヴがあるかと思えばEnergyのトラックもあり、トミー・ボーリンのデモを多数収録する一方でトリビュートバンド(feat.Glenn Hughes)による「Getting Tighter」まで入れちゃう――に入っていたもの。

 

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 「Cucumber Jam」は、詳しいクレジットはないんですが、バンド形式で録られている本格的なテイクで、8分余にわたってトミー達のファイン・プレイが聴けます。クールなジャズもホットなファンクもお手の物、リズムチェンジも何のその……この人の才覚は素晴らしかった。あと、(この曲はインストですが)この人は歌も歌えるんでしたな。これからも追いかけなきゃならんようです……

<続く>

【臨時】わが掌中のデスメタルーーChildren Of Bodom

 2021年初めに「Alexi Laiho死去」の報に接したときは衝撃を受けました。Children Of Bodomの熱心なファンとは言えない私ですが、アレキシのような同世代人の急逝にまず驚きましたし、考えてみれば初めて「デスメタル」を教えてくれたのも彼等だったなあ、と……。

 その恩義に報いるために一筆したためさせていただきました。

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Children of Bodom『FOLLOW THE REAPER』(2000)

  1. Follow The Reaper
  2. Bodom After Midnight
  3. Children Of Decadence
  4. Everytime I Die
  5. Mask Of Sanity
  6. Taste Of My Scythe
  7. Hate Me!
  8. Northern Comfort
  9. Kissing The Shadows
  10. Shot In The Dark
  11. Hellion

<メンバー>

 Alexi Laiho(Vo, Gt)

 Jaska Raatikainen(Dr)

 Henkka Blacksmith(Ba)

 Janne Wirman(Key)

 Alexander Kuoppala(Gt)

 

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 特にこのサード・アルバムは宝でした。今でも覚えているその出会い方がすばらしい(?)。2000年当時、地元の新星堂でCDを見ていたら、これ(『FOLLOW THE REAPER』)とJohn Wetton『WELCOME TO HEAVEN』(2000)が何故か目に留まったのでありました。完全にジャケのインパクトのみで。というのも当時、私はどちらのアーティストも全く知らなかったのですよ。アルバム1枚、どちらかを買う分しかお金は持っていませんから、「どうしよう?」と迷うわけです。しばらく唸ってから、オビに「ヘヴィ・メタル」とある方を選ぶことにした、と。(ちなみに、私がJohn Wettonの作品収集に走るようになったのは、2001年2月渋谷AXにおけるRX公演にサプライズゲストでウェットン先生が登場したのを目撃してしまってから以降のこととなるのであった。)

 

 いまそのCOB作品のオビを細かく見直すとこう書いてある。“フィンランド出身、アレキシ・ライホ、ヤンネ・ウィルマン在籍、テクニカル様式美ブラック・メタル・バンド、チルドレン・オブ・ボドム待望のサード・アルバム登場!”

 

 当時の私はすごいよ。はっきりと「ブラック・メタル・バンド」って書いてあるのに、意味が分かってなくて‟「テクニカル様式美」だからレインボーの凄い奴かな”くらいにしか思ってなかったんだから。

 

 買って帰ってCDプレイヤーに入れ、再生する。すると、なんかぶつぶつ言っているナレーションみたいなのが聴こえて(ホラー映画の一節らしいですが)、「アレ?始まらないの?」と思って音量を上げてスピーカーに近付いたら、いきなり“♪ジャン!”とデカイ音〔オーケストレーション・ヒット〕からの疾走メタルが始まって魂消る。前奏が済んで0分40秒辺りで歌が入ってようやく“んん?この押しつぶした声の歌唱は?も、もしかしてデスメタルってやつですか?”と気付く、と。

 

 デスメタルって言葉は知ってましたが、実際に聴くのはこれが初。「こういうのを買おうと思ったんじゃなかったのに……」と若干後悔した……のははじめのうちだけで、流して聴き進めるうちに、美旋律と獰猛な歌唱の対比とか、弦楽器と鍵盤のバトル――Deep Purple好きだったんで、そういうのは超ウェルカムだった――とか、「いいじゃないの!」と。

 

 デスメタルっていうのはなんかこう、邪悪な、聴くと堕落させられそうな音楽だと〔我ながらすごい浅はかな理解〕思っていたがそうでもないなと。(ただ、彼らって「ブラック・メタル」なんすかね?それはいまも疑問。トイズ・ファクトリーの方々に認識を問いたい!)

 

 面白がって何度も聴いているうちに、私よりも弟がハマってしまいまして、彼がアルバムを集め出したのでしたな。ファーストから『HATECREW DEATHROLL』『ARE YOU DEAD YET?』辺りまではマメにチェックしていたようです。(シングル『YOU’RE BETTER OFF DEAD』『TRASHED, LOST &STRUNGOUT』も含む。)

 

 我らの間では、「この人らのカヴァーのセンスがなかなか面白い」ってのはよく話題にしてました。Ramonesの「Somebody Put Something In My Drink」は効果音“♪ポチャ”が可愛らしくてうけるし、Slayer「Silent Scream」のムチャな鍵盤ソロは笑えるし(称賛しているのですよ)。

 

 これに手を出した頃は雑誌BURRN!もまめに買っていたので、彼らの記事はよく目にしました。真面目なはなしもあれば、アレキシが酔って自動車の上から転げ落ちて怪我したとかそういう“Wild Child”ネタもいっぱいあったなあ。Kimberly Goss(Vo)とのめおと(当時)バンドSinergyとかでも頑張ってた。

 

 DVD『CHAOS RIDDEN YEARS:Stockholm Knockout Live』(2006)も買いましたね。ディスクユニオンかどっかで買ったら、特典にマグカップかなんか付いてきたんじゃなかったかな。映像本体が熱いライヴなのは期待通りとして、なぜかステージが佳境に入ったところで(ステージ演出用の?)ファイアを用いてソーセージを焼いて食い始めるアレキシとヤンネ……なんだそりゃ?の微笑ましさ。いや、やはりいろいろ印象に残ってますな。

 

 さて、肝心の作品ですが、やはりこのサードが一番好き。オーケストレーション・ヒットをこんなにガンガンぶち込んだ作品は、ダミアン浜田『照魔鏡』以来だから……ってのは冗談で、私のようなエクストリーム・メタル初心者に優しいわかりやすさがあるからですね。正統的な(ちゃんと弾ける人の)プレイが満喫できるギターとキーボードはもちろん、テンポチェンジ支え楽曲を盛り立ててている変幻自在のドラミングがイイ。1曲目の「Follow The Reaper」はいまだに愛聴曲です。

 

 潔く終わった後、今度は突進力いのちの「Bodom After Midnight」につなぐところもナイス。要所要所で耳に残るフレーズを入れるギターセクションが嬉しいね。アレキシのセンスは、速弾きだけじゃなくてこういう細部にも発揮されている。鍵盤ソロ後半からドラムの盛り上げを受けて高速ギターになだれ込む2分40秒~3分10秒あたりは完璧。

 

 本作中最長の(とはいえ5分30秒程)「Children Of Decadence」も、やや重厚に始まりつつも本編はアグレッシヴに疾走。この曲も耳に残る印象的フレーズが雨あられ。エクストリームでありながらキャッチーでもあるという、得難い両立を果たしております。「Everytime I Die」は、彼らにしてはグッとテンポを抑えたヘヴィ・ナンバー。

 

 私が1曲目に次いで好きなのが5曲目の「Mask Of Sanity」。透明感ある冷え冷えした鍵盤フレーズに熱いギターとドラムが重なってくる幕開けにゾクゾク。加速に加速を重ねるドラムに煽られ、ヴォーカルも力が入る。間奏部分でで一旦クールダウンするかに見せて、爆発力あるソロパートに突入。ギター→キーボード⇒両者のツインという絡み方も最高です。「Taste Of My Scythe」は、今回この記事を書くために聴きなおすまでちょっと印象が弱かったのですが、高速の3連フレーズなどなかなか美味しい所あり。

 

 不穏なコードの鍵盤が導く「Hate Me!」は、代表的楽曲の一つかも。 “I don’t give a f**k, if you hate me!”のところなんか、パンキッシュな歌詞に反してなんか不思議とポップなくらい。ソロも良いけど、この曲なんかはバッキングのフレーズの働き(ギター)が大きい。次の「Northern Comfort」は、彼ららしいコンパクトな疾走曲。ラストの「Kissing The Shadows」は、ドラム(ヤスカ)の頑張り――バスドラム踏み倒し――が素敵なナンバー。鍵盤→ギター→鍵盤→ギター⇒ツインのソロ大会も“やりすぎ感”がたまらない。

 

 日本盤はこのあとにボーナスで「Shot In The Dark」(Ozzy Osbourneのカヴァー)と「Hellion」(W.A.S.P.のカヴァー)が入ってました。

 

 故アレキシ・ライホと仲間達のお陰で、私のデスメタルに対する偏見は取り除かれましたし、その後若干数とはいえデス系作品にも手を伸ばすことになりました〔いずれその辺についても報告したいね……〕。

 

 まさに『FOLLOW THE REAPER』は大恩ある一枚(?)。私のようなヤツでも楽しめたわけですから、もっと柔軟な方々ならば「デスメタルなんぞ知らん」というひとでも気に入るであろう。万民にお薦め……という言い方がよいのかわかりませんが、後世に語り継ぎたい作品です。

 Alexi、有難う。

どんぱす今日の御膳090

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The Joe Perry Project「East Coast, West Coast」(I’VE GOT THE ROCK ‘N’ROLLS AGAIN』1981)

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 Aerosmithジョー・ペリーソロ・プロジェクト。(厳密にはこれをやっていた期間中はエアロスミスを脱退していましたが。)第2作I’VE GOT~』=邦題『忘れじのロックン・ロール』の冒頭曲が、「East Coast, West Coast」。ジョーとともにバンドの中心を担ったCharlie Farrenさんの作です。

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 イントロも前振りなくいきなり“♪In the east and the west coast……”と歌&楽器が飛び出すのが何ともカッコいい、疾走曲。リードヴォーカルはチャーリーさんだそうです。ストレートで簡潔なロックンロール(3分ちょいで終わる)で、衒いのないギターソロもいい感じ。

 

 私けっこう捻くれモンなので、煮詰まったKissよりAce Frehleyのソロの方がいいと思う口なんですが、こっちもそれと似た感じで、「脱退メンバーのソロ作の方が本家本来の味を伝えている」様な気がしちゃう。快作!