第1期Deep Purpleのヒット曲「Hush」を作った人による自演版。もともとは、ジョーさんが作り、Billy Joe Royalという人に提供された(1967年)もの。ハネるリズムがファンキーなナンバーで、ビリー・ジョー版もチャート入りしたそうです。Youtubeで聴いてみると……なかなかソウルフルな歌いっぷりですな。
時系列でいうと、その後Deep Purple版が作られ(1968年4月頃)、さらにその後Joe Southがセルフ・カヴァー(アルバム『GAMES PEOPLE PLAY』1969)したという流れのようですので、ジョーさんはディープ・パープルのヒットに何らかの感慨を抱いた可能性がありますね。実際、Billy Joe Royal版よりも1分以上長くまたヘヴィなアレンジになっていますしね。さすがにオルガンソロを長々フィーチュアしたりはしないので、パープル版(4分強)ほどではないですが。それと、ジョーさん声と歌い方がRod Evans(Deep Purple初代Vo)とそっくり……って順番が逆か?
特にこのサード・アルバムは宝でした。今でも覚えているその出会い方がすばらしい(?)。2000年当時、地元の新星堂でCDを見ていたら、これ(『FOLLOW THE REAPER』)とJohn Wetton『WELCOME TO HEAVEN』(2000)が何故か目に留まったのでありました。完全にジャケのインパクトのみで。というのも当時、私はどちらのアーティストも全く知らなかったのですよ。アルバム1枚、どちらかを買う分しかお金は持っていませんから、「どうしよう?」と迷うわけです。しばらく唸ってから、オビに「ヘヴィ・メタル」とある方を選ぶことにした、と。(ちなみに、私がJohn Wettonの作品収集に走るようになったのは、2001年2月渋谷AXにおけるRX公演にサプライズゲストでウェットン先生が登場したのを目撃してしまってから以降のこととなるのであった。)
面白がって何度も聴いているうちに、私よりも弟がハマってしまいまして、彼がアルバムを集め出したのでしたな。ファーストから『HATECREW DEATHROLL』『ARE YOU DEAD YET?』辺りまではマメにチェックしていたようです。(シングル『YOU’RE BETTER OFF DEAD』『TRASHED, LOST &STRUNGOUT』も含む。)
我らの間では、「この人らのカヴァーのセンスがなかなか面白い」ってのはよく話題にしてました。Ramonesの「Somebody Put Something In My Drink」は効果音“♪ポチャ”が可愛らしくてうけるし、Slayer「Silent Scream」のムチャな鍵盤ソロは笑えるし(称賛しているのですよ)。
さて、肝心の作品ですが、やはりこのサードが一番好き。オーケストレーション・ヒットをこんなにガンガンぶち込んだ作品は、ダミアン浜田『照魔鏡』以来だから……ってのは冗談で、私のようなエクストリーム・メタル初心者に優しいわかりやすさがあるからですね。正統的な(ちゃんと弾ける人の)プレイが満喫できるギターとキーボードはもちろん、テンポチェンジ支え楽曲を盛り立ててている変幻自在のドラミングがイイ。1曲目の「Follow The Reaper」はいまだに愛聴曲です。
潔く終わった後、今度は突進力いのちの「Bodom After Midnight」につなぐところもナイス。要所要所で耳に残るフレーズを入れるギターセクションが嬉しいね。アレキシのセンスは、速弾きだけじゃなくてこういう細部にも発揮されている。鍵盤ソロ後半からドラムの盛り上げを受けて高速ギターになだれ込む2分40秒~3分10秒あたりは完璧。
本作中最長の(とはいえ5分30秒程)「Children Of Decadence」も、やや重厚に始まりつつも本編はアグレッシヴに疾走。この曲も耳に残る印象的フレーズが雨あられ。エクストリームでありながらキャッチーでもあるという、得難い両立を果たしております。「Everytime I Die」は、彼らにしてはグッとテンポを抑えたヘヴィ・ナンバー。
私が1曲目に次いで好きなのが5曲目の「Mask Of Sanity」。透明感ある冷え冷えした鍵盤フレーズに熱いギターとドラムが重なってくる幕開けにゾクゾク。加速に加速を重ねるドラムに煽られ、ヴォーカルも力が入る。間奏部分でで一旦クールダウンするかに見せて、爆発力あるソロパートに突入。ギター→キーボード⇒両者のツインという絡み方も最高です。「Taste Of My Scythe」は、今回この記事を書くために聴きなおすまでちょっと印象が弱かったのですが、高速の3連フレーズなどなかなか美味しい所あり。
不穏なコードの鍵盤が導く「Hate Me!」は、代表的楽曲の一つかも。 “I don’t give a f**k, if you hate me!”のところなんか、パンキッシュな歌詞に反してなんか不思議とポップなくらい。ソロも良いけど、この曲なんかはバッキングのフレーズの働き(ギター)が大きい。次の「Northern Comfort」は、彼ららしいコンパクトな疾走曲。ラストの「Kissing The Shadows」は、ドラム(ヤスカ)の頑張り――バスドラム踏み倒し――が素敵なナンバー。鍵盤→ギター→鍵盤→ギター⇒ツインのソロ大会も“やりすぎ感”がたまらない。
日本盤はこのあとにボーナスで「Shot In The Dark」(Ozzy Osbourneのカヴァー)と「Hellion」(W.A.S.P.のカヴァー)が入ってました。