DON'T PASS MUSIC BY

"Fashist an di attack ,den wi countah-attack......"<Linton Kwesi Johnson>

どんぱす今日の御膳040

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Carcass「Keep on Rotting in the Free World」(『SWANSONG』1995)

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 さまざまな邪道行為を告白している当方ですが、Carcassも一番好きなのがこの辺の「後期」なんですよね。もはやグラインド・コアではない時代の、しかもマイケル・アモットもいなくなった頃の作品。『CHOICE CUTS』っていうキャリア俯瞰ベストをざあっと聴いたときに、もちろん初期の唯一無二のぐろごあ路線も「ッスゲエ」と思いましたけど、この曲とか「Rxxk the Vote」の方により“ロックンロール”を感じたんです、よ。ま、要は「聴き易かった」ということかもしれませんが。

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 一緒に歌いたくなる(?)キャッチーなライン“♪Keep on rotting, keep on hoping, keep on keep on dreaming……”この皮肉っぽさはやっぱりブリティッシュ・バンドですわな。ギターのわかりやすい見せ場も設けられてるし、ソロ裏のドラム(カウベル・ポコポコ)もいい。「Carcassの名刺」とはとても言えんでしょうが、良いものは良いのです。

第58回「Zebra」(1)

 Led Zeppelinで好きな曲はなんですか?私の場合「Rock And Roll」「The Rain Song」「Bron-Yr-Aur」……などいろいろですが、実は五指に入るフェイヴァリットに「Carouselambra」があるのです。洋楽を聴き始めたころに新星堂某店で思い切って買った『BOX SET 2』(初めて買ったツェッペリン作品が二枚組のコレだった……)、一枚目ラストに入っていたこの曲は衝撃でした。10分半もあるし――当時の私はプログレ・リスナーじゃなかったので「長ッ!」と思ったのだ――、全編で眩惑的なシンセサイザーの反復、ルーズでタイトな(?)ドラミング……レッド・ツェッペリンであの曲が代表的だとか好みだとかいう人はあんまりいないようですが、インプリンティングみたいなもので、私にとってはいまだに重要曲なのですよ。

 

 Led Zeppelinはこの曲をライヴでやらなかったのかな?私、気になります(L)。Youtubeなどという大変便利なものが出来ましたから、探してみましょうね。「Carouselambra Live」で検索っと……うーん、出てきませんね。お、これは?

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 ある映像に目が留まります。アコースティック・ギターを抱えた男が「Carouselambra」をライヴ演奏してる、っての。クリックして聴いてみると、これがなかなか良い!あのシンセサイザーもドラムもないけど、楽曲の魅力が伝わってくる、アンプラグドの意義ある名人芸。誰だ、Randy Jackson(Zebra)ですと……

 

 そういえば、Zebraって一枚だけ持ってたけど、ちゃんと聴きなおさなくちゃ。というわけで、こちらです。↓

 

Zebra『NO TELLIN’ LIES』1984

  1. Wait Until The Summer’s Gone
  2. I Don’t Like It
  3. Bears
  4. I Don’t Care
  5. Lullaby
  6. No Tellin’ Lies
  7. Takin’ A Stance
  8. But No More
  9. Little Things
  10. Drive Me Crazy

<メンバー>

 Randy Jackson(Vo, Gt, Key)

 Felix Hanemann(Ba, Key.Vo)

 Guy Gelso(Dr, Perc, Vo)

                               

 1975年に結成されたというアメリカン・バンドのセカンド・アルバム。Randy Jacksonのヴォーカルはロバート・プラント直系というべきですかね。トリオだからLed ZeppelinよりもRushに近い手触りか……

 

 まずはZepに学んだと思しいビックなビートの「Wait Until The Summer’s Gone」でスタート。ランディの歌いまわしもロバートに寄せまくり。次の「I Don’t Like It」もそうかな。鍵盤も入れて分厚く仕上げた「Bears」はZepとはまた違った味わい有り。メロディアスでポップな要素を押さえているところがこのバンドの良さですな。

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 アップテンポのシャッフル(ブギー)「I Don’t Care」では、歌のほかにちょっと新味のあるギターソロも聴けます。ひとしきり盛り上がった後はバラード「Lullaby」でクール・ダウン。これはツェッペリンというよりはビートルズ風かな。良いです。

 

 後半に入りまして、ヘヴィにうねるリフの「No Tellin’ Lies」。重心の低い器楽の上に、ランディの高音ヴォーカルという、一種の十八番で、タイトルトラックとなったのも納得。次の「Takin’ A Stance」は80年代っぽい(?)爽快な疾走曲。ガイさんのドラムのライドがクール。テクニカルなギターソロもグレイト。

 

 「But No More」はテンポを落とし、絢爛なキーボードの中で歌を聴かせるハードポップソング。唯一フェリクスさんがリード・ヴォーカルをとるのが次のロックナンバー「Little Things」で、こちらは手堅いハードロックという印象。ラストはブンブンいうベースの上にジャキジャキとギターが乗っかる「Drive Me Crazy」。開放的――宇宙的な(?)広がりをすごく感じさせてくれる――な展開が素晴らしい。単なるツェッペリン・フォロワーじゃないね。

 

 という、充実作でありました。

<続く>

どんぱす今日の御膳039

039

California Guitar Trio「Hanagasa」(『CG3+2』2002)

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 民謡「花笠音頭」をなぜかカリフォルニアのギタリスト達(ロバート・フリップの門人)がやっているという。これはトリオの一人森谷英世さんが持ち込んだアイディアだったみたいです。

 ふだんはギター三本のアンサンブルでいろいろ聴かせるグループなんですが、本作ではKing Crimson人脈のTony Levin(Ba)+Pat Mastelotto(Dr)を「+2」として迎え入れ、リズム面を強化。プログレッシヴ職人のパットさんに祭囃子をズンドコ叩かせてるのがおもしろい。

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 同じアルバムではYes「Heart of the Sunrise」やMahavishnu Orchestra「Dance of Maya」のカヴァーを披露していたり、やはり和モノの「Zundoko-Bushi」なんてのもやっていたりして、なかなか楽しい。

時代の産物を追う?〔続〕(26)

 2019年の作品はまだまだございます。

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 70年代のクアトロ黄金時代を支えたギタリストLen TuckeyとSuziは一時期所帯を持ってまして、子供もお二人いらっしゃるとか。その“息子Richard Tuckey”さんが全面的に母ちゃんをバックアップして作ったのが、現時点での最新作『NO CONTROL』

(5)Suzi Quatro『NO CONTROL』(USA)

  1. No Soul/No Control
  2. Going Home
  3. Strings
  4. Love Isn't Fair
  5. Macho Man
  6. Easy Pickings
  7. Bass Line
  8. Don't Do Me Wrong
  9. Heavy Duty
  10. I Can Teach You To Fly
  11. Going Down Blues

<メンバー>

 Suzi Quatro(Vo, Ba, Gt, Perc

 Richard Tuckey(Gt, Cho)

 Tim Reyland(Dr)

 Jez Davies(Key)

 他

 いきなり歌と器楽がまとめて飛び出す「No Soul/No Control」、こっちの予想以上にアグレッシヴなロック・ナンバーでスタート。ギターリフのキレもよいのですが、この曲のポイントはキーボード(オルガン)の絶妙な入り方にあり。さすがに年輪を感じさせますが、その分貫禄の増したクアトロ・ヴォイスには敬礼。“♪You can’t take away my soul……”次のヘヴィ・シャッフル「Going Home」ではさらに威厳割増しでございます。

 

 ファンキーな管楽器隊を投入した「Strings」、スティールドラムを組みこんで南国風(?)に仕上げた「Love Isn’t Fair」、70年代からお得意のロッキン・ブギー「Macho Man」(Richardのギターも古典的美学をふまえていい感じ)、ハーモニカも入ってカントリータッチの軽やかな「Easy Pickings」と、曲もバラエティに富んでおります。すべてQuatro/Tuckeyの親子共作。

 

 ピアノとストリングスを入れてお洒落な「Bass Line」(ベース・ソロも有り)は、少しShocking Blue「Venus」を感じさせるところがあるかな。イントロのパーカッション(ボンゴ)はスージー自身が叩いてるんだって。一転してアーシーなブルーズ風ナンバーの「Don’t Do Me Wrong」に入ると、リチャードのスライド・ギターがお出迎え。

 

 管楽器も切り込むハードR&R「Heavy Duty」。“It’s a heavy duty world…….”バックバンドの一体感も素晴らしい。次の「I Can Teach You To Fly」はふたたびのヘヴィ・シャッフルなのですが、こちらは物悲しいメロディのヴァースから哀愁の展開(?)で開放的なコーラスへつなげる意欲的な曲。この手のリズムで一貫させながらメジャーとマイナーを行き来するのってけっこうめずらしいんじゃないかな。そして締めくくりの「Going Down Blues」(邦題「あんたに捧げるブルース」、これだけはQuatro単独作)はタイトル通りのヘヴィ・ブルーズ(とはいえ彼ら流のキャッチーさも勿論有り)。“♪You got the going down blues……”こういう曲は70年代の所謂黄金時代より「いま」こそ説得力があってよいですね。終盤“♪OK, let’s go !”からおお盛り上がりして終わっていくのも素敵。

 

 良い作品でしたね。これはもう、おすすめ。

<続く>

どんぱす今日の御膳038

038

Burt Bacharach「Raindrops Keep Fallin’ On My Head」(『GREATETST HITS』1973)

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 1928年生まれの音楽家バート・バカラックさんはそれこそ山ほど名曲を生みだしてますけど、私はこれが好きでして。但し、映画明日に向かって撃て!』を観たからではないのだコレが。

 小学校に上がるころに親が買ってくれた目覚まし時計が(いま考えると)洒落てて、普通のアラーム音のほかに、なぜか「トルコ行進曲ベートーヴェン)」と「雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin’ On My Head)」が選べたのね。だから最初の出会いはインストです。

 その後、NHKラジオの基礎英語で歌入り(B.J.Thomasヴァージョン)を聴いて、「へえ、こういう曲だったのか」となる。当時は真面目だったので洋楽の歌詞は別に作った大学ノートに書き写して、和訳もわかる範囲でつけたりしていた……あのノートはどこへ行ったんですかね。

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 それで最近、BURT BACHARACH’S GREATEST HITS』というのを(すいません中古CDで)手に入れて再生したら、そっちにはインストゥルメンタルのが入っていました。ヴォーカルのかわりにストリングスや笛が入ったもの。小気味よいB.J.Thomas版(1969)とは違った味わいでした。