さまざまな邪道行為を告白している当方ですが、Carcassも一番好きなのがこの辺の「後期」なんですよね。もはやグラインド・コアではない時代の、しかもマイケル・アモットもいなくなった頃の作品。『CHOICE CUTS』っていうキャリア俯瞰ベストをざあっと聴いたときに、もちろん初期の唯一無二のぐろごあ路線も「ッスゲエ」と思いましたけど、この曲とか「Rxxk the Vote」の方により“ロックンロール”を感じたんです、よ。ま、要は「聴き易かった」ということかもしれませんが。
一緒に歌いたくなる(?)キャッチーなライン“♪Keep on rotting, keep on hoping, keep on keep on dreaming……”この皮肉っぽさはやっぱりブリティッシュ・バンドですわな。ギターのわかりやすい見せ場も設けられてるし、ソロ裏のドラム(カウベル・ポコポコ)もいい。「Carcassの名刺」とはとても言えんでしょうが、良いものは良いのです。
Led Zeppelinで好きな曲はなんですか?私の場合「Rock And Roll」「The Rain Song」「Bron-Yr-Aur」……などいろいろですが、実は五指に入るフェイヴァリットに「Carouselambra」があるのです。洋楽を聴き始めたころに新星堂某店で思い切って買った『BOX SET 2』(初めて買ったツェッペリン作品が二枚組のコレだった……)、一枚目ラストに入っていたこの曲は衝撃でした。10分半もあるし――当時の私はプログレ・リスナーじゃなかったので「長ッ!」と思ったのだ――、全編で眩惑的なシンセサイザーの反復、ルーズでタイトな(?)ドラミング……レッド・ツェッペリンであの曲が代表的だとか好みだとかいう人はあんまりいないようですが、インプリンティングみたいなもので、私にとってはいまだに重要曲なのですよ。
Led Zeppelinはこの曲をライヴでやらなかったのかな?私、気になります(L)。Youtubeなどという大変便利なものが出来ましたから、探してみましょうね。「Carouselambra Live」で検索っと……うーん、出てきませんね。お、これは?
まずはZepに学んだと思しいビックなビートの「Wait Until The Summer’s Gone」でスタート。ランディの歌いまわしもロバートに寄せまくり。次の「I Don’t Like It」もそうかな。鍵盤も入れて分厚く仕上げた「Bears」はZepとはまた違った味わい有り。メロディアスでポップな要素を押さえているところがこのバンドの良さですな。
後半に入りまして、ヘヴィにうねるリフの「No Tellin’ Lies」。重心の低い器楽の上に、ランディの高音ヴォーカルという、一種の十八番で、タイトルトラックとなったのも納得。次の「Takin’ A Stance」は80年代っぽい(?)爽快な疾走曲。ガイさんのドラムのライドがクール。テクニカルなギターソロもグレイト。
「But No More」はテンポを落とし、絢爛なキーボードの中で歌を聴かせるハードポップソング。唯一フェリクスさんがリード・ヴォーカルをとるのが次のロックナンバー「Little Things」で、こちらは手堅いハードロックという印象。ラストはブンブンいうベースの上にジャキジャキとギターが乗っかる「Drive Me Crazy」。開放的――宇宙的な(?)広がりをすごく感じさせてくれる――な展開が素晴らしい。単なるツェッペリン・フォロワーじゃないね。
いきなり歌と器楽がまとめて飛び出す「No Soul/No Control」、こっちの予想以上にアグレッシヴなロック・ナンバーでスタート。ギターリフのキレもよいのですが、この曲のポイントはキーボード(オルガン)の絶妙な入り方にあり。さすがに年輪を感じさせますが、その分貫禄の増したクアトロ・ヴォイスには敬礼。“♪You can’t take away my soul……”次のヘヴィ・シャッフル「Going Home」ではさらに威厳割増しでございます。
ピアノとストリングスを入れてお洒落な「Bass Line」(ベース・ソロも有り)は、少しShocking Blue「Venus」を感じさせるところがあるかな。イントロのパーカッション(ボンゴ)はスージー自身が叩いてるんだって。一転してアーシーなブルーズ風ナンバーの「Don’t Do Me Wrong」に入ると、リチャードのスライド・ギターがお出迎え。
管楽器も切り込むハードR&R「Heavy Duty」。“It’s a heavy duty world…….”バックバンドの一体感も素晴らしい。次の「I Can Teach You To Fly」はふたたびのヘヴィ・シャッフルなのですが、こちらは物悲しいメロディのヴァースから哀愁の展開(?)で開放的なコーラスへつなげる意欲的な曲。この手のリズムで一貫させながらメジャーとマイナーを行き来するのってけっこうめずらしいんじゃないかな。そして締めくくりの「Going Down Blues」(邦題「あんたに捧げるブルース」、これだけはQuatro単独作)はタイトル通りのヘヴィ・ブルーズ(とはいえ彼ら流のキャッチーさも勿論有り)。“♪You got the going down blues……”こういう曲は70年代の所謂黄金時代より「いま」こそ説得力があってよいですね。終盤“♪OK, let’s go !”からおお盛り上がりして終わっていくのも素敵。