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"Secrets are fun to a certain degree, but......"<Jake Holmes>

時代の産物を追う?〔続〕(1)

 以前にも特集枠でやりましたのが「時代の産物を追う?」。要するに、近年の旬な作品の印象をとどめておこうというシリーズであります。

 

 前にやった時は、「2017年」発表の作品群から始め、「2016年」「2015年」へと遡りました。今回は「2017年」作品の残りから「2018年」「2019年」へと進むようにいたしましょう。まずざっと挙げてしまうと……

 

<2017年作品>

(1)Dave Davies & Russ Davies『OPEN ROAD』(UK)

(2)Punisher〔判官楽隊〕『LOST IN THE MAZE OF NIGHMARE〔迷失在夢魘中的迷宮〕』(China)

(3)Quatro, Scott & Powell『QUATRO, SCOTT & POWELL』(USA/UK)

(4)Ronnie Montrose『10 × 10』(USA)

(5)Ten Years After『A STING IN THE TALE』(UK)

(6)田中公平GRAVITY DAZE 2 重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択 オリジナルサウンドトラック』(Japan)

※リイシューやコンピレーション、ライヴ盤はとりあえず除いてます。以下同じ。

 

<2018年作品>

(1)Ace of Cups『ACE OF CUPS』(USA)

(2)Archie Lee Hooker『CHILLING』(USA)

(3)Blitzkrieg『JUDGE NOT !』(UK)

(4)James Williamson and the Pink Hearts featuring Frank Meyer and Petra Haden『BEHIND THE SHADE』(USA)

(5)Jim McCarty『WALKING IN THE WILD LAND』(UK)

(6)Lino.『WONDERLAND』(Japan)

(7)Rat Scabies『P.H.D.(Prison, Hospital, Debt)』(UK)

(8)Richard Lloyd『THE COUNTDOWN』(USA)

(9)Skull Pit『SKULL PIT』(Japan)

(10)Soul Doubt『THE DANCE OF LIGHT & SHADE』(Italy)

(11)金属恵比須『武田家滅亡』(Japan)

 

<2019年作品>

(1)Bernie Shaw & Dale Collins『TOO MUCH INFORMATION』(UK)

(2)Flying Colors『THIRD DEGREE』(USA)

(3)Nick Beggs『WORDS FAIL ME』(UK)

(4)Robyn Hitchcock/Andy Partridge『PLANET ENGLAND』(UK)

(5)Suzi Quatro『NO CONTROL』(USA)

(6)Tanith『IN ANOTHER TIME』(UK/USA)

 

 Riotのアーカイヴ作品とかそんなのばっかりに手を出してて、新しい作品への注意がおろそかになっていた気がしたんですが、まあまあ数はありましたね。例によってまとまりはないですけど。特に(自分で)思うのは「メタル!メタル!!」言ってる野郎の分際で、メタル新作があんまりないことですね。ブリッツクリーグスカル・ピットくらいですか。あ、中国のパニッシャーもそうだ。スージー・クアトロ関連が二つあったり、70年代パンクの立役者による円熟作があったり(リチャード・ロイドラット・スキャビーズ)、若者作品ではないですなあ。……エース・オヴ・カップアーチー・リー・フッカーは逆に、シニアの気概を感じさせてくれますわね。

 ちなみに、上記の中で一番熱心に聴いたのはGRAVITY DAZE 2』サウンドトラックだったりします。

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<続く>

第51回「Spizzenergi」(2)

 SpizzenergiのライヴDVD。続き。

Spizzenergi『WHERE’S CAPTAIN KIRK ?:Spizzenergi Live』(2005)

  1. 6000 Crazy
  2. Mega City 3
  3. No Room
  4. Soldier Soldier
  5. We Want the World
  6. Central Park
  7. Red & Black
  8. Energy Crisis
  9. Spock’s Missing
  10. Where’s Captain Kirk ?
  11. The Model

<メンバー>

Spizz(Vo)

Dave Scott(Gt)

Simon Kinder(Gt)

Matt Broughton(Ba)

Jeff Walker(Dr)

Cathy Tozer(Cho)

Sam Wilkins(Cho)

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 次の「We Want the World」はここまでのパンク系楽曲とは趣の違うメロディアスなポッピーソング。Jeff Walkerの生み出すゆったりグルーヴが心地好い。にしても、この客席の微妙な反応はなんですかね。フェスティヴァル形式ゆえ、彼らの熱烈なファンばかりでないというのはわかるが……前方の数名くらいしか“わあー!”と盛り上がっていないのが正直寂しい。

 

 しかし!スピッツ魂はそんなことではくじけないのだ!御大はノリノリなんだよね。器楽隊の男どものさえない表情はオーディエンスがどうとかではなくてデフォルトだろうしね。Spizzが、ファーストアルバム制作時のメンバーとしてギタリストの片方(Dave Scott)を紹介。短髪白髪半ズボンのおじさん……の刻むジャキジャキしたリフで始まるのが「Central Park」。目立つのはベースラインなんだけど。

 

 やっぱりファーストアルバムから「Red &Black」、これまたDaveのリフからスタート。最初期楽曲の「変さ」「怪しさ」が堪能できる。オリジナルのテイクは鍵盤が入ってたんじゃないかな。XTCの「Beatown」からダンサブル要素を取り去ったみたいな……ってわかり難いですかね。コーラスの女声(特に向かって左のサム・ウィルキンさん)がタフで、サビではリードヴォーカルを喰わんとする勢いなのも愛敬がある(?)。おお、客席もようやくあったまってきたぞ。

 

 ベースの「ベンベン ベケベン」フレーズが引っ張る「Energy Crisis」は、サビのところで無理やり高速になる、やっぱり妙な曲。1980年のAthletico Spizz80名義のアルバム『DO A RUNNER』に入ってたみたいね。Spizzさんはね、作品ごとに名義をちょっとずつ変える芸風(?)だったんですな。Spizzenergi時代にちょっとヒット曲があるんでその名前が有名だけど、活動当初はSpizzoilって名乗ってたり、さっきのAthleticoナントカになったり、Spizzだけになったりね。

 

 アコースティック調に始まる「Spock’s Missing」では、冒頭でスピッツが聴衆に歌わせようと奮闘。客側のノリは微妙だが……。本編が始まると意外にキャッチーなこの曲、不思議な盛り上がりを見せるのであった。

 

 でもね、やっぱり最大のヒット曲「Where’s Captain Kirk?」は別格ね。おとなしかったフロアも急に動き出すし、スピッツも特性ジャケットを脱ぎ捨てて――オーディエンスに投げ込む!――Spizz顔入りTシャツで熱唱。あら、短く終わっちゃった。と思ったら、客を煽ってもう一回しですか。この曲のヴィデオを『PUNK AND ITS AFTERSHOCKS』で初めて観た時に受けた衝撃には及ばんが――あっちは、若くて細いSpizzがシンプルにカッコ良い――、名曲は名曲だ。いつだか「ベスト・スタートレック・ソング・イン・ヒストリー」とかいう評され方をされたそうなんですけど……「スタートレック・ソング」なんつうジャンルがあったのかね。

 

 アンコール的に演奏される「The Model」は、リズム隊のグルーヴ工場ぶりもよいが、なんといってもキャッチーなサビ“♪Lalalala lalalala lalalalala~”が耳に残って離れない。サムとキャシーのコーラスが調子っぱずれなのはわざとなんですかね?Ono Yoko風味さえあるぞ。ファットマンSpizzの存在感を最後まで押し出して終演。

 

 この映像でさえいまや23年も前のものですか。でも調べると、Spizzenergiってまだやってるみたいなんですよね。ちゃんとしたホームページも持ってるし。何かの間違いでいいですから来日しちゃったりしないかねえ。誰かがゲストで呼ぶとかさあ。と、無茶な要求を行って、締めましょう。

<続く>

特集:このドラミングがすごい③Jerry Shirley(5)

 シド・バレットのアルバムは「ロック」とはちょいと違いましたが、ロック本道での仕事もあった。The WhoのベーシストJohn Entwistleのファーストソロ・アルバムへの参加です。

 

(4)John EntwistleSMASH YOUR HEAD AGAINST THE WALL』(1971)

  1. My Size
  2. Pick Me Up (Big Chicken)
  3. What Are We Doing Here?
  4. What Kind of People Are They?
  5. Heaven And Hell
  6. Ted End
  7. You’re Mine
  8. No. 29 (Eternal Youth)
  9. I Believe in Everything

<メンバー>

John Entwistle(Vo, Ba, Key, Horn)

Cy Langston(Gt)

Jerry Shirley(Dr)

 

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 豪快なギターリフで幕を開ける「My Size」。ジェリーさんの名人芸でゆったりしつつも張りのある枠組みが出来上がり、その上でジョンのベースが弾む。Cy Langstonさんは、The Whoのエンジニアなどをつとめたひとのようですが、プレイヤーとしてはほとんど本作が唯一の参加作ではないでしょうか。Pete Townshendとは全然違いますが、オーソドックスないいプレイをされます。ところで、“♪I’m gonna bring you down to my size, smash your head against the wall.”っていう歌詞、何のことなんだろうと思いますよね。曲の終わりに“で・れ・れ・れ、だー、だー、だー。”っていうリフが現れるので、あ、「Boris the Spider」の続編(?)なんだなとわかる仕掛け。The WhoBoris the Spider」は、ジョンのペンによる初期The Who『A QUICK ONE』所収)なんですが、おもしろい曲なのでそちらもぜひ。

 

 「Pick Me Up (Big Chicken)」は、イントロセクションなどでホーンの入るロックソング。ジョン・エントウィッスルさんは、フリューゲルホルン・トランペット・トロンボーンもプレイしている、とクレジットにあります。The Who『TOMMY』でもジョンさんはホルンを披露していましたね。かすかにおどろおどろしい雰囲気も醸し出すのがジョンのロックンロールで、そこはピート・タウンゼンドと異なりますかね。腕利きベーシストのリーダー作だけあって、ベースはアクティヴ。Billy SheehanのTalasほど露骨じゃないけど、けっこうブンブン言ってます。(因みに、ビリー・シーンジョン・エントウィッスルを「ヒーロー」と敬っていたようです。)

 

 かと思うと、フォーキーなテイストの「What Are We Doing Here?」なんかでは、ジョンがかなりきっちり歌える人なんだということがわかったりもします。こういうソフト目の曲でも、ジェリーさんのサポートは万全。彼ならではの柔らかな音色もイイ……って、これはエンジニアの手柄かな?おお、後にQueen等の仕事で一般にも知られる(?)Roy Thomas Baker先生でしたか。

 

 「What Kind of People Are They?」は、ホーンがしっかり入る曲で、弾むようなリズムなのですが、歌詞はどうやら愚痴とか不満・怒りがテーマみたいなんですよね。Cyさんのジャキっとしたリフが私は好み。

 

 「Heaven and Hell」は、The WhoでシングルB面曲(A面は「Summertime Blues」)として発表されていた曲の、セルフ・カヴァー。The Whoではライヴでよく演奏されまして、名盤『LIVE AT LEEDS』が録られたころにもステージ・フェイヴァリットだったようです。(1995年のリイシュー盤『LIVE AT LEEDS』の冒頭に入ってて、私はこれが初遭遇でした。)The Whoのヴァージョンは、かなり荒々しく殺気立った雰囲気でして――まあ、キースが叩きまくり、ピートが弾きまくるんですから仕方ない――、それがライヴだとさらにとんでもないことになるんですが、こちらのソロ再録版はだいぶ異なる。ベースがアクティヴなのは相変わらずですが、テンポもおとし、アコースティックギターが主で、鳴り響くホーンに耳が行く。といって、「のどか」ではないのは歌詞“♪Why can’t we have eternal life, and never die, never die?”をジョンが本気か皮肉かわかんないトーンで歌うからですかね。なんか、どことなく不気味なんですよ。あと、フィルイン名手のジェリーさんによって、盛り上がりが増大しているのは聴き所。

 

 ホーンとオルガンがメインのゆったりした「Ted End」。ピアノ入りで、ジョンの歌が引き立てられる「You’re Mine」。いずれもちょっと聴いた感じでは和みそうになりますが、歌詞がやはり重い。前者はある人物(架空?)の死を歌った――Eleanor Rigby風の?――曲だし、後者の“You’re Mine”ていうのはラヴソングの類では全然なくて、どうやら大小の邪悪を為す者に対し「お前は余のものだ」ってサタンが呼び掛けているみたいなんですよ。で、“♪Get behind me Satan, the devil takes all those that sin…….”なんて出てくるわけ。割合聴きやすい曲調で、怖いことを歌う人ですよジョン先生。何言ってんのかわかんないデスメタルとかよりずっと怖いです。次の「No.29(Eternal Youth)」(CDにはExternal Youthって書いてあるけど、誤植?)あたりまで含めてね。似てる曲調だけど「No.29」の方がバンドサウンド感が強いかな。ジェリーさんのスネア・ワークがツボを突いてくるのは言わずもがなとして、シンバルの決め方もいい。3分辺りから、パーカッションソロやベースソロといった器楽パートに突入しますが、このリフレインのドゥーミーなまでの執拗さはどうですか。

 

 最後の「I Believe in Everything」くらいは、心穏やかに。メンバーお得意のゆったりテンポで、心地よいメロディに浸ろう……とするのにそれをさせないジョンのセンス。「なんでも信じる」は半分皮肉らしくて、終盤クライマックスでは「あんたは、信じるのかい?魔法、天国と地獄、キングコング、生まれ変わり、庭の奥の妖精、白雪姫と七人の小人、ゴブリン、グールと魔女、夜に出くわす者供、テレパシー、永遠の若さ、ミッキーマウス、サンタクロースを……」と畳みかけておいて、いきなり「Rudolph the Red-Nosed Reindeer(赤鼻のトナカイ)」をみんなで歌い出し、そのままフェイドアウトして終わってしまうという。なんだか妙な気分に聴き手をさせて終わっちゃうわけですよ。英国流の皮肉とユーモア、かもしれないけでも、ジョンは些か“悪趣味”かもしれないね。それがThe Whoのベーシスト、とは別のソロならではの姿かもしれませんけども。

 

 ということで、英国ロック史に燦然と輝く……かどうかはわかりませんが、個性的な作品であることは間違いないJohn Entwistleの記念すべきソロデビュー作を堂々サポートしたのが、われらがJerry Shirleyさんであった、というお話でした。

 

 ジェリーさんの仕事は、1980年代のFastwayとかWaystedのようなHR/HM系のものもあるのですが、そちらについてはまたの機会に。本特集はいったん締めくくっておきましょう。

<完>

目次[登場アーティスト付き]其の九 2020年1月~3月

 

目次[其の九]

第51回「Spizzenergi」(1)[Spizzenergi]

特集:このドラミングがすごい③Jerry Shirley(5)[John Entwistle]

第51回「Spizzenergi」(2)[Spizzenergi]

時代の産物を追う?〔続〕(1)

第51回「Spizzenergi」(3)[Spizzenergi]

時代の産物を追う?〔続〕(2)[Dave Davies & Russ Davies]

第51回「Spizzenergi」(4)[Spizzenergi]

時代の産物を追う?〔続〕(3)[Punisher(判官楽隊)]

第52回「Tycoon」(1)[Tycoon]

時代の産物を追う?〔続〕(4)[Quatro, Scott & Powell]

第52回「Tycoon」(2)[Tycoon]

時代の産物を追う?〔続〕(5)[Ronnie Montrose]

第52回「Tycoon」(3)[Billy Joel]

時代の産物を追う?〔続〕(6)[Ten Years After]

第52回「Tycoon」(4)[Billy Joel]

時代の産物を追う?〔続〕(7)[Ten Years After]

第53回「内田勘太郎」(1)

時代の産物を追う?〔続〕(8)[『GRAVITY DAZE 2 サウンドトラック』]

第53回「内田勘太郎」(2)[憂歌団]

時代の産物を追う?〔続〕(9)[『GRAVITY DAZE 2 サウンドトラック』]

第53回「内田勘太郎」(3)[憂歌団]

時代の産物を追う?〔続〕(10)[Ace of Cups]

第53回「内田勘太郎」(4)[憂歌団]

時代の産物を追う?〔続〕(11)[Ace of Cups]

第53回「内田勘太郎」(5)[内田勘太郎]

時代の産物を追う?〔続〕(12)[Archie Lee Hooker]

 

第51回「Spizzenergi」(1)

 あけましておめでとうございます。

 さっそくですが、ちょっとマイナーなアーティストの結構マニアックな品をご案内と行きましょうかね。

 

 当ブログ第1回(第1回「The Jam」)で名前は出してたんですが、『PUNK AND ITS AFTERSHOCKS』っていうオムニバス映像集に、「Where’s Captain Kirk?」っていう曲と「Virginia Plain」っていう曲を演奏するSpizzenergiってバンドがあったんですね。狭いクラブでものすごいテンションのライヴをやってて、しかも曲がちょっとヘン――「Virginia Plain」はRoxy Musicのものでしたけど、コレを観た時はそんなことは知らんかった……――だったもんで、ずっと気になる奴らだったんです。

 

 ただ、CDショップでけっこう探してもなかなか作品が見つからない。探し始めてからだいぶたってから、輸入盤を扱う大手の店頭にSpizzenergi『SPIZZ NOT DEAD SHOCK !(1978-1988 A Decade of Spizz History)』っていうベスト盤を見つけて、「うおおおお」と思って買って帰り、くだんの二曲を中心に聴き込みました。事前に思ってたよりももっと変な連中だということがわかりましたかね。楽曲のクレジット(バンド名義)がコロコロ変わってるし、最初期は歪んだギター+ヴォーカルのローファイ作品だし、かと思うと次には鍵盤奏者を入れて分厚い音も出すし……

 

 その後は、輸入盤店も中古CD店も気を付けて探しましたが、彼らの作品はまったく出てきませんでした。探し方が悪いのだろうか。……などと思っていると先日、次にお示しするDVDに行き当たったんですよ。いやあ嬉しかったですね!……っていうとちょっと違うか。パッケージをみると「1996年のライヴ」って書いてあるのね。ジャケットの写真は70年代のスピッツ青年(たぶん、「Where’s Captain Kirk?」のミュージック・ヴィデオに出た時の衣裳)だけど、そこから20年近く経ってるわけで、どうなってるのか不安が半分。

 

 いや、「百聞は一見に如かず」?「案ずるより産むが易し」?とりあえず観てみないと始まらないよね。

 

Spizzenergi『WHERE’S CAPTAIN KIRK ?:Spizzenergi Live』(2005)

  1. 6000 Crazy
  2. Mega City 3
  3. No Room
  4. Soldier Soldier
  5. We Want the World
  6. Central Park
  7. Red & Black
  8. Energy Crisis
  9. Spock’s Missing
  10. Where’s Captain Kirk ?
  11. The Model

<メンバー>

Spizz(Vo)

Dave Scott(Gt)

Simon Kinder(Gt)

Matt Broughton(Ba)

Jeff Walker(Dr)

Cathy Tozer(Cho)

Sam Wilkins(Cho)

 

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 パンクロックのイヴェントHolidays in the Sun(@Blackpool Winter Gardens,1996.8.11)に出演した際のライヴ映像。私はさいぜん申したようにDVDを中古で発見し購入したんですが……、部分的にはネット上でも観られちゃうみたい。苦労して見つけたのにあんまりだ。

 

 オフィシャル作品なんですけど、カメラワークはあまり巧みとは言えません。前半は特に、バンドへの寄って行き方が不安定。演奏も、こういっては何ですが、90年代後半ということを考えると、別に上手くはない。演出が凝っているかというと、それも特にない。楽曲は、一部のスマッシュヒット曲を除いては、さほどキャッチーでもない。観衆も超盛り上がっては、いない。リーダーのSpizzは、声は出ているものの、容貌などは年齢相応におじさん。……こうやって書き連ねると、なんにもいいところがないみたいですけど、困ったことに「味は、ある」んですよ。えもいわれぬ「味」がね。

 

 幕開けは最初期の楽曲「6000 Crazy」。“で・れ・れ・だー・だー”っていうリフをギタリスト(Simon)が刻むと、ヴォーカリストが歌い始めるんですが……そのあまりに恰幅のよいスーツ姿に、「どこの政治家?」とか思いました。Spizzさん、さすがに若い頃からはお変わりになられました。元の曲はヴォーカルとギターだけだったんですが、このライヴではフルバンド用にアレンジされています。ドラマーのJeff  Walkerさん――いうまでもないが、Carcassの人とは別人――は、長い手足を活かしてビシバシ刻みを決めますね。初期のメンバーは他のひとだったと思うので、この時限定のヘルプだったんかと思いきや、後で調べたらこの時以来ずっとグループに在籍しているという、いまやバンド史上4位に入る在籍期間の長さ。(オフィシャルサイトには歴代のメンバーが、在籍の長い順に17位まで挙げられてた。)Spizzの信任厚い方なんでしょう。

 

 前曲からほとんと間をあけずに始まる疾走曲「Mega City 3」。“♪Everything is possible…… in Mega City 3……”云々っていうコーラスがキャッチー。女声コーラスが二人いまして、仏頂面で演奏する器楽の男性どもと対照的に結構ニコニコしてて、振り付けもそれなりに決めてくれるんですけど。……肝心のコーラスが微妙にアウト・オヴ・チューンな時があるのはご愛敬、なのか。まあ、Spizzからして「うまさ」で売る人じゃないでしょうけどね。

 

 次の「No Room」は、彼らにしては割とポップ……(?)なサビのある曲。丸っこいSpizzが飛び跳ねるのカワイイ。固い表情のベーシストの弾く硬い音質のラインが耳につく。“♪No room for you……”

 

 ギタリストSimonが「The Star-Spangled Banner」をミスしながらちらっと弾くんで、「何をやんの?」と思っていると、名曲(?)「Solider Soldier」が開始。あら、上着を脱いだスピッツさん、下に着てるシャツにはご自分の顔写真をあしらったレコードジャケットをこれでもかと貼り付けてあるよ……こりゃあ凄い。コーラスのご婦人方の勇壮(?)な振り付けも楽し気。“So~ldier~”っていうあたりの発声はJohn Lydonぽくもあるかな。このDVDはオマケで2000年代のSpizzさんインタビューが入ってるんですけど、そこではご本人が金髪を逆立ててたりするため、いっそう“まるくなったジョン・ライドン”風なんだわさ。

<続く>